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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第20章 旱天慈雨






「天元!コレは?」

すぐさま、欲しい物を発掘したらしい睦は
珍しく興奮気味にこちらへ戻って来る。

「天元の爪もきれいだもの。
私もしてみたい」

ほらまた可愛いコトいいやがる。
本当に無自覚なんだよなぁ…
完敗だわ。
負けましたとも。

「…だめ?」

「そんな目すんな」

誘惑にまで負けそうになるだろうが。

「睦がきれいになんのに
悪ィわけねぇだろ?」

俺は睦の手から
その爪を磨くセットを取り上げ、

「ついでに染めてみたらどうだ?
淡いピンクとか似合うだろうな」

適当に見繕ってそれも手にした途端、

「それはいい!水仕事するから…」

睦は慌てて俺を止める。

「水くらいじゃ落ちねぇぞ?」

「いいの。ごはんを作るときに
何となく不衛生な気がして…。
実際はそんな事ないんだろうけど
私の気分で…」

なるほど。

「じゃ足の爪につければいい」

「え…あ、」

構わず会計に向かう俺に言葉を失い
ただおとなしく後をついてくる。
俺はその爪磨きと装爪をセットにして
睦への贈り物とした。



小物屋を出て、
小腹がすいたという睦と共に
次にやって来たのは甘味処だ。

大きな町だけあって
一箇所に密集したたくさんの甘味処。
団子がウリだ最中がウリだと
それぞれ推しが違っていて
…まぁもれなく睦に決め切れるワケがねぇ。

仕方なく、

「今1番食いたい物にしろ」

助け舟を出すと

「じゃああそこ!」

と、迷わず指差したのは
幟に『いそべ』と書かれた店。
…餅好きだ。


睦と揃って暖簾をくぐると
いらっしゃいませと元気な声が飛ぶ。

店内は中々の盛況ぶり。
空いた席に案内され注文をする。

睦はもちろんいそべを。
俺は茶を。

俺は頼まずに睦のを一口もらうのが
いつもの流れなので
なんの文句も言わない睦。

「お客さんたくさんいますね」

「そうだな。みんなお前みてぇに
小腹がすくんだろうなぁ…」

「…『お前みたいに』は余計です」

ぷくっと頬を膨らせて
睦は俺を睨む。

「可愛いだけだし…」



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