第19章 思い出 ☆彡
ふと視線を感じて目を戻すと、
片眉を上げて私を見つめる宇髄さん…。
…バレたかな。
布団を運ぶのはほんとは物凄く大変でした。
ちょっと見栄を張りました。
「昼メシの仕込みは?」
「やりました」
「その洗濯モンはもう乾いたのか?」
「あ、…はい。日当たりがいいと助かります」
なんだろう…
この矢継ぎ早に飛んでくる質問は。
責められてる…?
いや、怒ってる?
「あの、…」
ちょっと不安になった私は
宇髄さんの様子を窺いながら声をかけた。
でも、
「玄関の掃き掃除も?」
宇髄さんの質問責めは終わらなかった。
「掃き掃除もしました」
「台所…」
「朝ごはんの片付けのついでに洗ってあります」
そこまで言って、
宇髄さんは大仰にため息をついた。
……褒められこそすれ、
ため息をつかれるとは思いもしなかった。
どうしよう…
まだやり残したことあったかな。
「あのなぁ睦…」
「ごめんなさい…」
「へ?」
すぐさま謝罪を述べた私に、
宇髄さんは目を見張った。
「どこか、足りてなかったら、ごめんなさい」
怖かった。
自分がちゃんと出来ていないような気がして。
「睦…?お前はちゃんとできてるよ」
ふわりと微笑んでくれるけれど、
「ちゃんと…?本当ですか?
出来ていないから、
あんな事を訊いたんじゃないんですか?」
私はもう猜疑心に苛まれていた。
「違うよ。逆だ」
「…逆?逆って何ですか?
ほんとのこと言って下さい。
ちゃんと出来てないとダメなんです。
そうでないと…私なんかただの役立たずです」
「睦。ちょっと来い」
二の腕をぐっと掴まれ
力を込めて、広い胸に引き寄せられた。
なだれ込むように寄りかかる体を
優しく抱きしめてくれる。
「お前は、何でここにいると思う?」
「……」
「睦は、どうしてここにいるんだ」
答えを待つ優しい目。
…怒っていなかった。
「…結婚、したから…」
「あー…そうか。まぁそうだな。
でも、もっと気持ちのハナシだ。
お前が今ここにいる理由は?」
「……」
「思った事を言ってみな?」
「…好き、だから」
おずおずと述べる私を
愛おしげに見つめてくれる。