第19章 思い出 ☆彡
「…そう面と向かって言われると
何やら背中がむず痒いものだな…。
俺などまだまだだと思っていたが、
宇髄に言われると嬉しいものだな」
えー、素直すぎ。
「…やめようぜ、褒め合いとか
それこそ痒くなってくらぁ」
相手が睦ならばこれ幸い。
でも男同士、加えて同志とあっては
居心地が悪い…
「早く平和な世にしたいものだな…」
遠い目をして言った煉獄の声を、
忘れたくないと思った。
きっと、思いは同じなのだ。
愛しいものが安心して暮らせる世。
共に幸せでいられる世を。
「そうだな…」
「平和な世になった暁には
君の恋人に会わせてもらえるのだろうか」
「まだそんなこと言うのかよ…」
「当然だ!」
「んー…そうだなぁ。有事の際に
俺とあいつの仲を取り持ってくれんなら
考えてやってもいい」
「おぉ、協力しよう。
微力ながら力添えは惜しまないぞ!」
「いやいやご謙遜。煉獄なら百人力よ。
頼りにしてるぜ」
そんな会話をしながら、
いつかやってくる平和のために
力の限りを尽くす事を心に決めた朝だった。
⌘
その煉獄が、
どこまで尽力してくれるかね。
なんて…
例えばたった今チビたちが帰ったとしても
煉獄に罪はねぇ。
わかってるよちゃんと。
でも、できればもうちょい
チビの相手しといてもらいたい…。
仰向けに転がした睦の首元に
頭を預けると、
優しく髪を撫でてくれて
「…ちょっと休む?」
なんと、この俺を寝かしつける作戦に出た。
「休まねぇし」
むぎゅっと乳を掴むと
「いっ…ちょっと‼︎」
怒りに満ちた声を上げる。
「俺を寝かそうとした罰だ」
「何でよ!天元のために言ったのに」
「お前のためだろ。
さては俺がもう一回抱こうとしたのに
気づいたな?」
「…き、…気づかないよそんなの…」
軽蔑の目を向け、
そろそろと離れゆく睦。
…そんな直球で暴露すりゃあ
逃げたくもなるか。
「いや、いやいや!な?
もうそんな事するワケねぇよな」
ごまかしの言葉と共に
睦を抱き寄せる。
心地よく吸い付く肌が
離れがたくさせた。