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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡





唯一、私の事を甘やかしてくれる人。
私の事を許してくれる人。

おじちゃんとおばちゃん以外で
そんな人が現れるとは思っていなかった。
居ないはずだった。
まさか自分が、
誰かが私を甘やかす事を許すようになるなんて
想像もしていなかったのだ。

つい口走った私の言葉に
目を見張った宇髄さんは

「そんなこと言ったら、お前後悔するぞ…?」

台詞とは裏腹に
ひどく優しい表情をする。

後悔、するかな…?
でも私だって、この人のことなら
何でも許せてしまうような気がするんだ。

「浮かれて、何するかわからねぇぞ」

幸せそうに微笑んで
私の唇を食むように口づけた。
ゆっくりと啄むようなそれは、
緊張で身を硬くする私には
永遠のように長い時間に感じられた。

「…っ」

息を詰め、苦しさを感じ始めた私に気づき、

「…睦?」

唇を緩く触れ合わせたまま
宇髄さんは私を呼んだ。
呼ばれてしまっては、目を開けざるを得ない……。
彼の長いまつ毛が、私に触れてしまいそう。

「お前甘いな…」

一言、余計な感想を述べてから、
(甘いのはたい焼きのせいです)

「…いい事、教えてやろうか」

幸せそうに目を細めた。
…いい事?

「その、苦しそうなの、すげぇ可愛い。
可愛いけど苦しい、だろ?俺、離さねぇし。
そん時は、鼻で息すんだよ」

……何の指南だ。
でも、確かに。

「やってみ」

優しい声が口づけに消えた。
さっきと違って押しつけられるような口づけ。
俯いた私を、
彼の唇が掬い上げるように上向かせ、
私は彼の着物を握り込んだ。

長い口づけに気を取られ、
またもや息を出来ずにいた私…

「…-睦、」

見兼ねた彼は私を離す。
離れた事で、多少緊張がほぐれ

「ん、…」

私は、はぁっと息をついた。

「息。…出来ねぇの?」

何故そんなに愛しげに言うの。

「…できない」

できません。
だって、唇を合わせただけで緊張してしまう。
そっちに集中しすぎてしまって
他のことが出来なくなる。

「…可愛いけど、」

言いながらちゅっと口づけをされた。

「酸欠にでもなったら大変だ」

……さっきから何の話をしているのだろう。
可笑しな内容な気がする…。

だって口づけの時の息の仕方だよ?
そんな会話する恋人なんている…?




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