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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡






「俺は男としてどうだ?」

「…?どうって…」

飾りの先端に鎖を繋げ、
揺れる石を取り付けながら
睦はやっぱり上の空。

ただ、答えは返ってくる…
割と器用だな。

「素敵なんじゃないでしょうか…
体格もがっしりしていて男らしいし…
守ってもらえそうで…。
その割に美形だし、優しいから
そばにいて安心できるっていうか…」

チラともこちらを見ずに
俺を分析する…。
……。

ひとつ、思う事がある。

『私別に、悪い意味で言ったんじゃありませんよ』
『宇髄さん、男前だし素敵な男性なのに…』
『そばにいて安心できるっていうか…』

「お前、俺のこともう好きなんじゃねぇ?」

さっきからこいつの発言は
思い切り俺を褒めるものばかりだ。
俺の気持ちを知った上でそんな言われ方したら、
勘違いされても仕方ねぇんじゃねぇの?

「ほぇ…⁉︎」

まぬけな声を出し、
やっと簪から目を上げた。

大きく見開かれた目は
今にもこぼれ落ちてしまいそうだ。

「違いますよ…っ」

ぷいっと顔を背け、
簪を作業台の上に置いた。
見る限り、完成したワケではなさそうだが…

ふと見ると、
長い髪の隙間から覗く睦の耳が
ほんのり赤い。
…当たらずといえども遠からず、
と言ったところか?

確実に、睦の心は
俺に向かい始めているということだ。
希望の光が見えて
俺は大いに浮かれた。

立ち上がった睦は
小さな引き出しがたくさんある
用だんすの前に立った。
…ちょうど、俺に背を向ける格好…。

きっと、赤く染まっているであろう頬を隠す為、
簪に使うパーツを取りに行く体で、
うまく隠したつもりだろうが…。

「俺に隙をみせるのか…」

引き出しの中から、
淡い桜色の石を取り出していた睦の
背中に立った俺は
小さな体を囲うように
目の前に並んだ用だんすに手をついた。

「…‼︎」

驚いて声も出せない睦。

「お前…男と2人きりだって事
わかっててやってんの…?」

わざとそんな言い方をしてやった。
お前の目の前にいるのは、
『男』だってことを
知らしめてやるために。



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