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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡






無理矢理な事をするつもりはねぇ。
ただ、安心されては困る。
危機感というか…
意識をしてもらわねぇと。
俺はオトモダチになりてぇワケじゃないのだ。

「…あ、の…離れて、くださ…」

俯き声を震わせる。
睦の背と俺の腹が
触れそうで触れない距離。
…もどかしいなぁ。
もう、抱きしめられる所に、睦がいるのに。

…いや、急いては事をし損じる、だ。
古人はうまいこと言ったモンだ。

せっかくここまで来て、
台無しにするわけにはいかねぇ。
ここからこそ、慎重になるべきだ。
でも…

「…宇髄さん、離、し…」

「睦、」

「え……?」

急に呼ばれてピクリと背中を伸ばした。
…ド緊張している。

伸ばした腕にも俺の胸にも、
触れてしまわないように
小さく硬く、身を縮めて震える睦。

「…抱きしめてぇ」

「⁉︎」

がたっと用だんすに体を押し付け、

「だっだめです‼︎」

大声で喚いた。
…いや可愛すぎるだろ。

「だめなのか?」

「だめに決まってるじゃありませんか!」

「なんでよ」

「何でって…!
そっそういう仲じゃないじゃないですか!」

「…『そういう仲』になりてぇの。お前と。
わかってんのか?」

いまいち、伝わってねぇような気がする。
俺のことお兄ちゃんかトモダチくらいにしか
見てねぇような気がするんだ。
甘い言葉を掛け合いながら
抱きしめたり口づけたりしたい。
それを、こいつはわかっているのか。
…それとも、

「…お前、恋を知らねぇな…?」

それが一番近い答えのような気がする…。

何もわからねぇまま、俺に惹かれてる。
そうか、それなら納得できる。

「そんなもの、知りません。
知る必要もありません」

さっきまでの焦りがウソのように
冷たく言い放った。
…こりゃあ、何かあったな。

そう思った俺は、

「知る必要はある」

はっきりと言ってやった。
睦は相変わらず俺に背を向けたまま、
少しだけ顔を上げる。

「…ありません」

頑なにそう繰り返した。

「知らねぇ事は罪だ。
前を向いて、俺に応えろ」




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