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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡





うっすら涙を溜めて喜んでくれる。

「いえいえ、それならいつでも直せるので。
ガラスの所だけ割らないように
気をつけて下さいね!
もう同じものはつくれませんから…」

…同じものは、作れない…

私は自分の言葉を心の中で反復した。
自分で言っておきながら
何故だかひどくひっかかる言葉だ…。

「嬉しいですー。
私これとってもお気に入りなんです!
なにか気合を入れたい時につけると
とってもいいんですよー?
ありがとうございますっ」

その台詞に嘘はないらしく、
ひどく嬉しそうな須磨さん。
そこまで言ってもらえて私こそ幸せだ。
私の作った物に、
そこまでの想いを込めてくれるなんて
作り手冥利に尽きる。

「こちらこそありがとうございます」

私はほんわか幸せ気分で離れを出た。



仕事道具を散らかしたままの
部屋を片付けるため、
真っ直ぐに向かっていると
途中、廊下で宇髄さんに出会した。

…いや。
同じ屋敷の中なのだから
出会す、というのもおかしな話か。

でも彼はひどく嬉しそうに微笑むと

「睦、引渡し終わったか?」

引渡し、だなんて
そこはかとなく業務的な言い方をする。

「はい。今須磨さんにお渡しして来ました」

「須磨、喜んだろ。
あの髪留め、すげぇ大切にしてたからな」

「はい。私も嬉しいです。
まさかのお客様でした」

こんな身近な所に
熱烈なファンがいて下さるとは思わなかった。
なんてありがたいのかしら。

なんて、思っていると
おもむろに私の目の前に寄った宇髄さんが
髪を掻き上げ、ついでに上向かせて来る。

「お前は、可愛いなぁ」

「………。はい⁉︎」

なにを…
いきなりなにを言い出すかな⁉︎

今の私のどこら辺が可愛かったのか…
相変わらずこの人のツボは謎だらけだ。

「気づいてねぇのー?
すっげぇ幸せそうに笑うからよ、」

「へ、ヘェ…」

気づいてません、そんなの。

「可愛いと思ってしてねぇとこが可愛いのよ」

「そ、ですか…」

慣れない。
激しく慣れない。
こんな事をさらりとやってのけるこの人を
まるで直視できない私は
どうにかして俯きたいのに、
大きな手がそれを阻む。



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