第19章 思い出 ☆彡
だって、抵抗なんてできないよ。
この人が与えてくれる熱が
ひどく心地いいんだ。
優しくて、激しくて
私のすべてを愛してくれる。
これが、私を仕留めるための
宇髄さんの罠だったとしても
私には争うことなんてできない。
だって私が、
この人を愛してしまったから。
ちゅ、と音を立てて
私の肩に唇を押し当てる宇髄さんは、
そのまま私の帯に手をかける。
…なんとなく、わかってはいたけれど…、
「あの、…あっためる、って…」
「ん…?冷え切った身体あっためんのなら
人肌が1番だろ」
「…ここ、で?」
ふと湧いた疑問を口にすると、
少し考えた宇髄さんは、
「…布団敷くの、お前待ってられるか?」
俺は無理だけど、と独り言ちる。
訊いたくせに、私の答えを奪うように
今度は首筋に顔をうずめてきた。
そこが弱い事を知っていて
わざと押し付けるような愛撫をする。
「いっ…あぁん…っ、」
かくんと膝の力が抜けて
咄嗟にしがみつくと、
彼も瞬時に私を支えてくれた。
「あっ…ぶねぇ…。いきなり堕ちるなよ」
ホッと息をついた宇髄さんに、
帯をしゅるりと抜き取られ
着物を剥がれる。
乱れた襦袢姿の私に、自分の羽織を引っ掛けて
「わ、ぁ…!」
そのまま器用に押し倒された。
私を覗き込む優しい瞳の奥に揺らめく欲望。
下からそれをただ見つめる私に、
「…なんだ、今日はとことん抵抗しねぇのか?」
珍しい物でも見るように言う。
「できない、の…」
「…怖ぇ、か?」
「怖くない…。宇髄さんの事は、全然…」
そう、私この人の事はもう怖いと思わない。
腹が立つ時はある。
でもそれすらも、この人を愛しているからだと
最近気づいてしまったのだ。
「ヘェ…そりゃまた…」
意外そうに、且つ嬉しそうに目を見開き、
「激しく可愛いな…
俺なら、いいってのか?」
愛しげに囁いた。
「…わかんない」
「どこまで許せるか、試してみるか」
艶っぽい声音に変わる。
この人の色気は私を狂わせる。
愛してもらう喜びを知った私を
どんどん堕としていくのだ。
試す必要なんかない。
どこまでも許せてしまうはずだから。
言葉にするのは躊躇うくせに、
答えはもう出ている…。
「…お前、自分が今
どんなカオしてるかわかってる?」
「え…?カオ…?」