第19章 思い出 ☆彡
必死の抵抗も、この人にはまったく効果なし。
力の差は歴然。
体格差も、然り。
「道っぱたでは、…オリコウに我慢したろ…っ」
切羽詰まった声。
壁に押し付けられた私は
食べられる勢いの口づけを受けるしかなかった。
「まっ、…て…!まだ、玄関…っ」
「……」
玄関じゃなきゃいいんだな?
開いた目がそう言っている。
——本気なのがわかる。
止まる気もやめる気もない。
攫うように強く手を引かれ、
廊下を引きずられた。
さほど長くない廊下。
襖に手をかけ、スパンっと開き切り、
部屋の中に入った途端
待ちきれない様子の宇髄さんに
再び唇を塞がれた。
深く重なる唇に、動悸が激しくなっていく。
荒々しくされるのが
まったく嫌じゃないのは
私もこの人と同じ気持ちだからだろうか…。
ひとしきり激しく貪るような口づけをされ、
多少気が済んだのか、
今度はひどく優しい
確かめるようなそれに変わった。
何度も角度を変えて、
ゆっくりと唇を食む行為に身体も溶かされていく。
「…ふ、ぁ…んっ」
甘い声がもれる。
我慢できないの。
私の心を揺さぶるのが上手ね…。
何でも言う事を聞いてしまいそうになるよ。
「…睦…?
あっためて、やるから…おいで…」
口づけの合間に、
ひどく甘く誘惑された。
激しくて、少し強引なのと、
優しくて甘い言葉の落差に
くらりと眩暈がして…
おいでと言われたら本当にその通りに
従ってしまう。
自ら全身を擦り寄せた私の髪を撫でて
「…可愛い睦…。よく、できました」
そう褒めながら
長い指が首筋を撫で下ろして行く。
「こんな冷え切って…」
暖かい手が、私の肌をなぞりつつ
着物をはだけさせた。
露わになった肩を親指で撫でて
もう片方の手が私の頭を抱え込み
動かないよう固定した。
差し出す形になった頸に熱い唇が押し当てられる。
「……ぁ…」
ぴくりと反応を示す私を楽しむように
耳から首の付け根までを刺激された。
あぁどうしよう…
恥ずかしいのに、悦んでいる。
いつもなら逃げようとする私が
おとなしく委ねていることに気を良くしたのか、
「…睦、今日は…
…いつにも増して可愛いな」
宇髄さんはひどくご機嫌な様子。