第19章 思い出 ☆彡
優しい口づけが
深く激しくなるのにそう時間はかからなかった。
ごく自然に、着物を乱されて
私の唇を弄んでいた彼のそれは
さっき噛みつかれた首筋を再び食む。
ずっと優しい愛撫。
体を辿る指ももどかしいくらいに繊細で
私の全身が震えた。
なんか、いつもと違う気がする…。
「睦…?」
小さく呼ばれて、ふと瞼を開く。
「…感じて、る?」
いつもと、違う、と
今自分でも気づいたところだ。
それをこの人は既に見抜いているみたいだった。
肩を甘噛みされて
「っ⁉︎」
甘い刺激が、強く背中を駆け抜けた。
過剰な反応に、
私はもちろん、天元も驚いたようで…
「…」
「…」
しばらく見つめあってしまう。
「…かわい…」
「……」
私は首を横に振った。
「なに、…気持ち良すぎちまうの?」
なんでそんなに嬉しそうなの…?
「…おかしい、みたい…」
「おかしいの大歓迎…」
そうしてまた、私の肌に唇を寄せた。
背中に回った手が
帯の結び目を解きにかかり、
その為に加わった力が私の背を押し出させる。
おかげで、自ら胸元を差し出すような格好になり
しかも逃げ場はない。
優しく押し付けられる唇の熱さばかりが
刻みつけられて、
「…っ、ね、おかし、い…の、ど、しよ…っ」
戸惑いと焦りで、
ついおかしな事を訊いてしまった。
帯を解かれて緩んだ着物。
乱された襦袢からはふたつの膨らみがこぼれ
いたずらな手がそれを押し上げ弄ぶ。
手や唇が触れるたびに、
さっき同様の過剰反応をする私を
ゆっくりと味わう彼。
そのゆっくりが、悪いのかな…。
なんて、頭の片隅で考えた。
押し開かれた足。
彼の腰に跨るような体制にされて
私は更に跳び上がった。
「や、…まって、何か…言って…」
おかしいのと伝えたのに、…。
やめるでもなく、黙ってただ私の肌を辿る天元に
不安を拭ってほしかった。
自分では、どうにもならないし、…
ちょっと怖いくらいなんだ。
「…愛してる」
「え…?」
「愛してる」
急な告白。
…なぜ、今?
かぷっと
首の付け根に噛みつかれ
「いっ、やぁ…っ、」
出したくもない甘い声がもれた。
「イヤじゃねぇだろ…?可愛い声だしやがって。
愛してるから、大丈夫だ。
怖く、ねぇよ?俺の為にめいっぱい可愛く啼け」