第19章 思い出 ☆彡
でも、ホントの事なのに。
「俺になら何されたって許すだろ…?」
残ってしまった歯型に舌を這わせ慰める。
睦は全身を震わせて吐息をもらした。
声にもならないその様子が
もうたまらなく俺をそそる。
「お前…ほんとかわいいな」
いつまで経っても飽きずに抱きたくなるのは
俺を想ってするひとつひとつの行動が
可愛くて仕方がないからなんだがなぁ…。
それが今ひとつ、こいつには伝わらない。
でも伝わらないから、
伝えようとがんばれる。
だから飽きないのだ。
少し戸惑いながら
俺の腕に収まり黙り込んでしまった。
『可愛くない』なんていつも否定はするが、
俺がそう言うとちゃんと喜んでいる。
「…ね、あの…」
言いにくそうにして少し体を起こした。
…イヤな予感。
「聞かねぇ」
こんな時、絶対ぇ俺を拒むんだ。
だから聞かねぇ事に決めた。
一回赦したみてぇな態度とっておいて
今更したくねぇとか言われてもムリだ。
「えぇ…っ!聞いてよ、私…」
「やだね。やめろって言うんだろうが。
俺もう我慢できねぇから」
睦の頭を腕に抱え、
少し向こうへ傾けさせると
露わになった首筋をくすぐるように食んだ。
「あ…っん、くすぐらないで…」
背中と頭に腕を回されぎゅっと握られる。
体の芯を溶かす行為に
どこかに掴まっていないといられないようだった。
逃げる事をやめた睦。
いや、出来なくなった、と言った方が正しい…?
可愛い可愛い。
俺はどんどん睦に溺れて行った。
出逢った頃から変わらず……
いや、何なら増殖しているこの想い。
私は、この人がだいすきです。
でもだからって、
「やめて…、」
常に愛される準備が出来ているわけではない。
「何でだよ」
不機嫌にそう言って軽く口づけをする彼は、
どうして常に準備万端なんだろう…
何故こうも、…こうも……
「…どうした?」
私の顔を覗き込んでいた天元は
急に真っ赤に染まったであろう私の顔を見て
不思議そうに言った。
膝に乗せられたまま
肩をきゅっと掴み上げられた。
彼は背中を丸めて、
下から思い切り覗き込んでくる。
いやだ!
こんな顔、間近で見られたくない!
何を想像したのかがバレる上に
おもしろがってからかうに決まってる。