第19章 思い出　☆彡

「可愛いって言っておけばいいと思ってるでしょ」

拗ねた声。
これまた可愛い…

「可愛いモンは可愛いんだよ。
俺は思った事しか言わねぇ。だから、
さっき言ったのも本心だ。
でも別に悪い意味で言ったわけじゃねぇ。
睦が俺の為にする事だ、
嬉しいに決まってるだろ？
いいじゃねぇかよ、ちっと調子に乗るくらい」

抱きしめる腕にぎゅっと力を入れると

「…知らないよ。私ももう休む」

拒むようにその腕に手を掛けた。
離れてほしいのだろう。

「冷たいこと言うなよ。
俺を1人にするのか？」

「こんな、
昔と変わっちゃった私を相手にしてたって
つまらないでしょ」

「何…？」

「小狡くてタチが悪い私なんて
相手にしたくないでしょっ」

「お前何言っ、てんの…」

そこで俺は気がついた。
…『あざとい』だ。
まぁたったの一言にしつこく喰い付いてくれる。
それだけ、俺の言葉は重てぇって事か。
だから態度で示せっていっつも言ってんのに。
まさか俺の方がこんな事態を招くとは…。
口は災いの元、ってか。

「睦、こら泣いてんじゃねぇよ。
俺は『情欲を掻き立て心情をくすぐられた』
って言ったんだよ」

「いや、離してよ。もういい、休むから離して」

…昔と何ら変わっちゃいねぇな。
すぐ俺の元から去ろうとする。
そんな事、俺が許すはずねぇのに。

「俺の話し聞いてたか？
お前に欲情したっつってんだろ。
コレ、どうしてくれんの？」

すでに反り立った欲を
膝の上に座る睦の腰に圧し付けた。

「っ‼︎や、しっ知らないよ、
自分で何とかして！」

「お前にしかおさめらんねぇの
わかってて言うかね、そんな事」

「そんな気、全然ないから！やだっ、」

俺から逃げようと逆らう睦の
小さな身体を押さえ込み、

「その気になれよ、俺が欲してんだから」

首筋に囁く。

「…っ、な、に…」

「睦だけだ、
…今夜も俺だけのモンになって」

がぶりとそこに歯を立てると
ぎゅっと全身を引き攣らせ

「…いぁっ…！」

強い刺激に思い切り強張らせた。

「…っ天元、…いたいの、やだ…ぁ」

「…俺にならイイくせに」

「っ…やっぱり…しない」

「あー悪ィ！」

涙を滲ませ唇を噛み締める睦に
簡単に絆される。