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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡






私がやっと発した前向きな一言に
大きく目を見開いてから

「あぁ…睦だけだ」

優しく微笑んで
はっきりと断言してくれた。
それだけで、もう大丈夫な気がしたんだ。







あの時もうすでに、
この人には逆らえなかった。
声を聞けば許してしまうし
目を見れば骨抜きにされる。
あぁもう、殻にでも閉じこもってしまいたい。

「睦、機嫌直せよ。
悪かったって。
お前が笑ってくれなきゃつまんねぇよ…」

耳元でそっと囁くように謝罪をされて
私は全身を震わせてしまった。
あぁ、もう…
結局は彼の意のままだ。
この人を好きな私には、
結局どうする事もできないのだ。












ちょっとしたことで睦をすぐ怒らせる。
それは俺の悪いクセで、
睦を可愛く思うあまり、
からかいすぎてしまうようだった。
それでも真摯に向き合い謝罪すれば
睦はすぐに許してくれる。
いや、
許さざるを得ないのだ。
俺を愛するが故に。
それをわかっていて

「なぁ笑ってる顔が見たい…
愛してるから…睦」

なんて、愛の言葉を囁いたりして。
あざといのは睦じゃなくて俺の方。
でも俺、
悪い意味で言ったんじゃねぇんだけどな…
睦は何でも
悪い方に受け取る節があるからな。
特に自分の事となると。

「……」

頑なに顔を上げない睦。
前にもこんな事があったなと
つい思いを馳せた…。







俺の言った、たったの一言が、
睦の心を閉ざさせてしまった。

やっと睦を手に入れた数日後。
睦の休みを狙って
家を訪ねた日のことだ。

俺は明らかに浮かれていた。
何年越しの想いが実ったと思う?
そりゃ浮かれるだろ。
そんな折に見せた、
睦の媚びるような態度。
それを今まで見たどの女よりも可愛い、
と言ってしまった俺に
睦はショックを受け、
怒りそして泣いた。

そこまで深い意味で言ったわけじゃなかった。
あんなふうに甘えて来た睦。
それが可愛くて愛しくてたまらなかったのだ。
あの言葉は俺にとって…
特に睦に対しては
褒め言葉のつもりだった。





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