• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡





悔しいが、そうなるように仕向けられた。
心の中から排除できなくなるように。
その事に絶望に近い感情を抱いている私に

「…さっきはどうして、泣いてたんだ?」

畳み掛けるように
極上に優しい声で囁きかけてくる。
考える隙などありはしない。
なにを勘違いしたのか、
まるで救いの手を差し伸べられたように感じ、
私は再び涙をこぼした。
怖いのと、気がついた甘い感情が相まって
私はもう混乱の極みだ。

「お願い…もう、放っておいて…?」

嫌じゃない。
嫌なんじゃないの、でも。

誰かに優しくしてもらうのに慣れてない。
そうして、甘えて裏切られるのが怖い。
また、
怯えなくてはならない日々がやってくるくらいなら
最初から無い方がいいの。

「…わかった。今日は帰る。
でも覚えとけよ。俺はお前を諦めねぇ」

「私を、諦めない…?」

「お前の心を救ってみせるから」

まるで誓いを立てるかのように
私の髪に口づけを落とし、
ほっぺたをひと撫ですると
彼はスッと闇に紛れて消えた。

その後、数日間。
彼は私の前に姿を現さなかった。
その空白の時間がまた、
私の心を惹きつけるのだ。

これがカケヒキってやつなんだろうか。
ため息は人知れず、空気に紛れて消えた。







「忌々しいが、結果良かったって事か?」

「わかっててよくそんな言い方する!
思い切り
私の気を惹きつけるつもりでやってたくせに」

呆れた人だ。

「あのなぁ、俺だって手探り状態だったんだ。
上手くいくかなんて賭けだった。
…まぁ、手応えは感じてたけど」

「こわっ」

「何だ怖いってぇ。俺の方が怖ぇわ。
この俺に靡かねぇ女なんか初めてだし、
ちっと気が惹けたかと思えば
すげぇ勢いで拒否してくるし、
翌日行ったら振り出しに戻ってるしで、
お前は異色すぎてどう扱えばいいか
まっったくわからなかったんだぞ」

「そんなこと言われたって…
だってあんなの初めてで
どうしたらいいかなんてわからなかったんだもん。
口ではどうとでも言えるでしょ?そもそも、
なんで私なのかってずっと思ってたから」

「そうだろうな。お前にとっちゃ
いきなり現れたヤローが
不躾に言い寄って来てる状態だもんな」

気づけばいつのまにか、
長い両腕に抱き竦められている状態。
暖かい腕は心地よくて、
下手すれば眠ってしまいそうになる。

/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp