第18章 嫉妬
何度も角度を変えて、長い口づけをすると
苦しくなって来たようで
ぎゅっと俺の腕をつかんでくる。
「ん、んんっ」
つかんだ俺の腕を揺さぶるが、
俺は知らん顔。
何なら
更に口づけを深めてやってもいい程だ。
散々待った。
別に間違った行為じゃねぇはずだ。
非力な睦の体を
自分の膝に引き上げて
真上から押しつぶす勢いで口づけを続ける。
でもあんまり苦しそうにするものだから、
仕方なく、
絡めた舌はそのままに
唇だけ、離してやった。
「ひゅ…は、ん…」
色っぽい声と共にうっすらと目を開く。
うっかり見つめ合ってしまった俺たち。
それを好機に、
俺は睦の反応を見ながら
舌への愛撫を始めた。
既に涙目の睦は恥ずかしいのか
何度も目をそらそうとするが
結局そうはできずにいるようだった。
逃げられないよう、甘噛みして押さえ込み
舌の先に唇全体で吸い付く。
びくりと身体が跳ねて
快感に耐えるようにぎゅっと目を閉じてしまった。
俺は舌全体を吸い上げ、それを咎める。
「んぁっ…」
開いたままの口端から声が漏れた。
与えられる甘い刺激を模して上がる
静かな喘ぎ声が俺の耳を犯して行く。
我慢がきかなくなって
襟元を乱す俺の手をつかみ、
小さく首を振ってみせた。
「……なんだ」
ようやく離れた唇にホッと息をつき
「ここじゃ、いや」
何とかそれだけ告げる。
…相変わらずかよ。
「お前は、そういうのに
構ってらんねぇ事はねぇの…?」
「…え…?」
「俺は今すぐ睦を抱きてぇの。
その衝動を抑えらんねぇんだよ。
お前はいっつも、ここじゃいや、俺の部屋の
布団でなくちゃって…。そうじゃなくて
なりふり構ってらんねぇくらいの
強い想いはねぇのかよ」
「……」
「お前があんまり言うから、いつも
すっげぇ我慢して俺の部屋まで行ってやるけどな
ホントはそんな余裕、カケラもねぇんだよ。
…お前には、ねぇの?
俺がいますぐ欲しくてたまらない衝動」
俺だけみたいで解せない俺は
固まったままの睦に問いかけた。
言うのを迷っているのか
伏目がちな睦が、
更に両手で自分の顔を覆った。