• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第18章 嫉妬





「それは俺が勝手に買ってるだけであって、
……俺はお前にオネダリされたいワケよ」

「それは…難しいな。
だって、物欲はあんまりないの」

「知ってるよ」

「でも、そうじゃなくて…
私は天元にたくさんもらってるからね…」

幸せそうな笑顔を浮かべ
やっと編み物から目を上げた。

「物じゃなくて、気持ちとか想い出とか
私を変える程のなにもかもをくれた。
その方が、私にとっては大切なんだ」

「気持ち…」

「うん…。ダメな私を愛してくれたでしょう?
どこがいいんだか、私なんかを」

睦は自嘲するのに
どこか嬉しそうにしている。

「天元が物好きだったおかげで
私は随分救われた」

「睦は、ダメなんかじゃなかったよ。
あん時からただ可愛くて優しくて…
でなきゃ俺が気に留めるわけがねぇだろ…?」

「変わり者…?それかよっぽど淋しくて、
相手にされたのが嬉しかったのね」

くすくすと笑いながら、
再び編み物の方に目を向けてしまった。
なぜそんな、自虐的な事を言うのか…

「おい、愛してるんだぞ」

指で顎を掬い、強めにこちらを向かせる。

「…えっ…な、に…?」

俺の急な行動に驚く睦。

「俺が愛してる女を悪く言うな」

「……」

俺を見上げたまま
呆気に取られていた睦は、
なんとも言えない可愛らしい笑い方をした。

「はぁい」

幸せそうな顔を見ていると
どうにもたまらなくなって
俺は相変わらず小さな睦を
抱き寄せる。

「あ、まって、編み物が…」

そう言われて、
睦の手に守られていた編み物を
潰してしまう寸前で何とか止まった。

そうして編み目が解けないように
ゆっくりと睦の手から取り上げる。

「…待って、編みたいの」

編み物を、睦の両手が追ってくる。
だから俺はそれを素直に返してやった。
すんなりと返された事に驚きながらも
睦は編み物を再開させた。

編みたいのかよ。俺の、相手するよりも?

「…あ、の…天元 …っ!」

人差し指を顎に添え
くるりとこちらを向かせた瞬間、
すかさず唇を塞ぐ。
驚いた睦が棒針を握り締めたのがわかった。




/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp