第18章 嫉妬
ちょっと…似てると言われて
浮かれた気持ちになる。
俺も結構、単純だ。
そうやって家族4人、
時間が許す限り庭で遊んだ。
なんとも幸せな時間だった。
それは弥生や睦が言う通り、
みんなが笑っていたからなのだと思った。
「睦…」
「なぁに?」
夜になり、茶の間で1人
くつろいでいた睦の隣に腰を下ろした。
呼びかけたものの
何も言い出さない俺の動向を窺っていた睦が
訝しげにこちらを見ている。
「……なぁに?」
「いや、いい女だなぁと思って」
「…また何かしたの?」
「お前そういうこと言うのか」
憎まれ口をたたく睦の
頬をつまんでやると、
「ごえんなひゃい」
素直に謝り
俺の手を離させようとして
きゅっと握ってきた。
握られて、指を絡め握り返してやる。
つままれていた頬をさすりながら
「…ちょっと、照れ隠しをしただけなのに…」
いじけて見せた。
「照れ隠しだったのか?
それならもっと可愛くやれよ。
お得意だろうが…」
「お得意…?」
本当にわかっていないような
不思議そうな顔で俺を見上げるので、
「そうだろ?可愛く頬を染めて
ちょっと俯いて…。
いつもそうやって、俺の心をくすぐるくせに…」
睦の得意技のどこがどう可愛いかを
余すことなく教えてやろうと、
「目ェ潤ませて、上目遣いしてみな…?」
俺の思う可愛い姿を挙げてやるのに
「な、なに言うの…。そんなのムリ…」
近づく俺の胸を指先で押して
俯きがちに顔をそらす。
「いつもしてんだろ」
「してないよ…っ」
「無自覚かよ」
それは手に負えねぇな。
「もう、やめて。
すぐそうやってからかって遊ぶんだから」
気のない返事。
簡単に、甘い雰囲気にはなってくれそうもない。
「からかってなんかいねぇよ。
…なぁ、俺に無理矢理抱かれる約束は?」
「そんな約束してないでしょ‼︎」
驚きと呆れの入り混じったような顔をして
睦は本気で吠える。
「睦月見てくる」
ぷいっと立ち上がる睦の肩を
抱きこんで止めた。
だって…