第18章 嫉妬
それを特に気にするでもなく、
睦は
「見てたよー、睦月できるまでがんばったね!
弥生も上手に教えてあげられて素敵だったよ」
空いた片手で、2人の頭を交互に撫でた。
でも2人の目は、繋がれたままの
俺たちの手に釘付け。
それに気がついた時、
睦は恥ずかしそうに俺を見上げ、
「ちょっと…。離して」
ぶんぶんと手を振りほどこうとした。
「……」
俺は無言で、更に力を込めた。
「えぇ…?痛い、です…」
戸惑いの声を上げる睦。
それも構わず、
「離したくねぇの」
そう告げる。
「はい?」
困ったように眉を下げる睦に、
「離したく、ねぇの」
もう一度ゆっくりと同じことを告げた。
俺の想いの強さが伝わったのか、
呆れたのか諦めたのか、
睦はもうその事には触れず、
「もう一回やって見せて?」
睦月にせがんだ。
期待されて睦月は
「うん!」
嬉しそうに独楽の元へと戻って行く。
弥生も嬉しそうにして
縁側に腰掛けて俺を見上げた。
「お父さんよかったねぇ」
なんていう声は
睦月を見つめている睦には
聞こえておらず、
俺は睦の隣に座り込み
弥生の頭を撫でてやる。
「弥生のおかげだなぁ」
「仲良しがいいもんね?」
「そらそうだ」
弥生と睦月のためにも、
俺たちは仲良い所を見せるべきなんだよな。
まさかそんな事を弥生に教わるとは
思いもしなかった。
「わー!睦月もうできる!」
睦が感嘆の声を上げる。
声につられて目をやると
睦月が独楽を回した所だった。
「覚えはやーい!」
弥生も驚いて立ち上がる。
「ねぇねのいうとおり!」
ちゃんと姉を立てるあたり、
よくできたチビだ。
「欲しがっただけあるね。
こんなに早くできるようになるなんて
運動神経抜群だねぇ。
お父さん似でよかった」
え?俺似?
睦の何気ない一言にひっかかる。
そんなこと考えたことも無かった。
睦月はおとなしく控えめで
絶対睦に似ているとばかり思ってたから。