第18章 嫉妬
「今夜、実践してやろうか。
無理矢理、お前を抱いてやるよ、
犯すみてぇに…」
「違うったら…!」
「考えただけでゾクゾクする」
わざと耳元で囁いてやると、
怯えてびくりと震えた。
「私は、ただ…私に逢いに来てくれたり…
連れ出してくれたりした事を言ったの…
そんな…抱く、とかじゃなくて…」
「でも、それだって俺ならいい、だろ?」
「……」
困惑するような瞳。
でも、俺を愛するあまり、否定できない。
「……可愛いなぁ…今夜、楽しみにしてろよ…?
俺しか見えねぇようにしてやるから」
囁きを頬に寄せると
「…もう、天元しか見えてない」
するりと俺の背中を撫でた。
「…ヘェ…そりゃ好都合」
目を閉じていた睦の顎を持ち上げた瞬間
大きな瞳がこちらを見据え、
あまりの近さに頬を染める。
いつまで経っても変わらない
こんな初心な反応に、
俺はたまらない愛しさを募らせながら
ゆっくりと口づけた。
睦の手を引いて縁側まで行くと
庭では弥生が睦月に、
独楽の回し方を指南している所だった。
もう何度もやっているのか、
折れそうになっている睦月を励ましながら
コツを我慢強く教える弥生。
…相変わらず面倒見がいい。
その熱い心が睦月にも伝わるのだろう。
弥生のためにも成功させようとする
睦月の心意気も感じられた。
そして数分後、
その2人の情熱が、成功へと繋がった。
睦月の放った独楽が、
大きな敷石の上で上手に回ったのだ。
その瞬間、
握っていた睦の手に力が入り、
ふと振り向くと
まるで自分の事のように喜ぶ睦がいた。
弥生も睦月を抱きしめて喜び、
睦月も嬉しそうに弥生にしがみついている。
なんとも微笑ましい光景だな。
2人でそんなチビたちを見守っていると、
こちらに気がついた弥生と睦月が、
「あ!見てた今の!睦月が独楽回せたよ!」
「ねぇね、おしえてくれた!」
興奮気味にこちらへと走り寄って来た。
その場にしゃがみ込んだ睦は
俺の手を離そうとしたが、
離れないようにぎゅっと力を入れ直す。