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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第18章 嫉妬





はぁ、なっさけな。
もうちょっとでいい、
余裕ってヤツを見せられねぇもんかね。

「弥生」

「なぁに?」

睦そっくりな顔で
おんなじような返事をしながら
弥生が振り返る。
文字の練習をしているようだった。
見上げたモンだな。

「大好きだぞ」

「私もお父さん大好き」

にっこりと笑い、

「…私を身代わりにしてもダメよ?
お母さんに言いたいんでしょ?」

でもすぐに呆れたような表情になった。
俺はカクっと項垂れる。

「弥生に言ったんだよ。
あいつにもちゃんと伝えるわ」

「よかった。お母さん、
お父さんのこと大好きだから喜ぶね。
お母さんが笑ってるとおうちの中が明るくなって
睦月も安心する」

弥生の台詞に俺は驚いた。
よくできた娘だ。

「弥生は優しい良い子だな」

「…お母さんがいつも言ってるの。
自分が笑ってなくちゃいけないって。
どんな顔をしていても、
それが周りに感染するんだって。
だから笑っていられるようにがんばるねって
私に言うの」

いつにも増して、弥生は饒舌だ。
それにしてもそんな話、初めて聞いた。

「でもねお父さん、笑うのってさ、
がんばってするものじゃないでしょう?
だから私、がんばらなくてもお母さんが
笑っていられるようにしてあげるんだ」

おい弥生、
それはなんて良い話だよ。
うっかり涙が出そうな話だな。

「その手始めが、文字の練習か?」

「うん!だって私が上手に書けるとね、
お母さんすっごく褒めてくれるんだ。
そうしたら私は嬉しくなるでしょ?
私が嬉しいと、お母さん笑ってくれるもん!」

睦を笑わせるために
自分が幸せでいるって事か。

「それは素晴らしい連鎖だなぁ…。
弥生は賢いよ」

えへへと、照れたように笑う弥生は、
睦の愛情を
いっぱいに受けて育ったんだなと
俺は嬉しくなった。

睦、お前の育て方は大成功だよ。
弥生が、自分の幸せも、
周りの幸せも考えられるなんて。

あの日、
母親になるのが不安だと泣いていた睦に
教えてやりてぇくらいだよ。
あまりに見事で、尊敬する。

早く帰って来ねぇかな…
今すぐ、顔が見たい…。



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