第18章 嫉妬
このやろう…。
「かぁかはぼくがまもるもん!」
「睦月…?」
いつもと違う様子の睦月を
信じられないような目で覗き込む睦。
「だいじょぶよ。ぼくがいるからね!」
睦を振り返り
目を見てはっきり告げた睦月に、
頬を染めて口元に指先を添えた。
……何だソレ。
絶対ぇ、キュンってしてるヤツじゃねぇかよ。
「このチビ…!」
俺の睦を横取りすんのか?
睦月の首根っこを掴み上げようとした俺に気づき
それより一瞬早く
睦が睦月を抱き上げる。
「チビじゃない!睦月よ。
だいたいおかしいじゃない。
天元は弥生にあんなふうに言われて
可愛い可愛いって喜んでたくせに
私にはだめだって言うの?」
ムッとした目を俺に向け、
にこっと睦月に笑いかけると
「大丈夫、いじめられてなんかいないのよ?」
落ち着かせるように言い聞かせた。
「ほんと?」
「うん、ほん…」
「ほんとだわ!
俺と睦は恐ろしく仲良しだ!
昨夜もなぁ、朝までずっと…」
「ちょっと‼︎何言うつもり⁉︎」
睦は大憤慨。
「本当のことだろ!」
…まぁ、確かに…言いすぎ、かも…?
「睦月行こ!」
頬を真っ赤に染めながら
睦月を抱いて睦は出て行った。
なんなんだ!
俺に言ってた事と違うじゃねぇかよ。
さっき自分だって思っきし嫉妬してたくせに……
あれ…
俺も、睦月に嫉妬してたのか…?
……
いやいやいや、そんなバカな。
………
でも、
睦の、あの睦月を見る目…
まるで恋でもしているような。
そして
睦月のあの態度。
あいつを守るのは、俺だけの役目なのに。
小せぇナリして偉そうにしやがって…
だが、本気だったな。
聞きつけた睦の声を、
『怒った』ではなく『悲しい』と言った。
確かにそうだった。
あんなふうに声を荒げてはいたが、
睦は、悲しそうだった。
そして、いつもなら真っ先に逃げる睦月が、
俺の大声にも負けずに向かって来た。
しかも睦月のあんな声、初めて聞いた。