第18章 嫉妬
「お前らも仲良くおてて繋いで
どこ行ってたんだ?」
天元はしゃがんで睦月に訊いた。
すると睦月は何も言わずに
すすっと私の後ろに隠れてしまった。
この子はこの子で天元が苦手。
おとなしく優しい睦月を
豪快に…がさつに?扱う天元に
どう接していいのかがわからないのだ。
「お花を見てきたのよね?」
私が一言添えてあげると
うん、と小さく頷いた。
「花か。何が咲いてた?」
我慢強く睦月に関わってくれる天元。
思い切り優しい声でそう尋ねると
「すいせん」
睦月も精一杯応えた。
たくさん遊んでもらって天元の事を
好きなはずなのに、
ペースが合わないばっかりに…。
「水仙?…睦月の水仙か?咲いたのか」
「うん!」
嬉しそうに頷く睦月。
いい予感…
「そうか!よかったな!」
「うん!とぅともみて!」
「あぁ、見に行こう」
立ち上がって睦月に手を伸ばす。
その手を睦月が取って、やっぱり嬉しそうに
天元を引っぱっていく。
よっぽど嬉しいんだなぁ、…
2人が行ってしまった台所で、
残された弥生は少し淋しそうにしていた。
「弥生?お庭、行ってきてもいいよ?」
私の言葉にパッと顔を上げ
「ううん!大丈夫。お母さんも味見して?」
にっこりと味見用の小皿を差し出した。
「朝ごはんを作ってくれてたの?」
「うん!私もお母さんみたいに
お料理上手になりたい!」
なんて嬉しい事を言ってくれるの。
「ありがとう。弥生ならすぐに上達するよ」
やる気があるから、
その意気ならすぐにうまくなる……
ん?
それなら、普通私と一緒に作らないか?
多少違和感を覚えながら
「おいしい!上手にしたね」
「本当?良かった!」
ホッとしたように胸に手を当てた。
仕草が可愛いな。
「さて、そろそろ
おかずを作ってもいいですかー」
台に乗った弥生の後ろに立つと、
「あ、うん!何作るのー?」
にこにこで訊いてくる。
「玉子焼きです」
「わーい!お母さんの玉子焼きだいすき!」
「ありがとう。作り甲斐があるよ」
ボールに卵を割り入れるのを、
「見ててもいい?」
わくわくした様子で覗き込む弥生。