第18章 嫉妬
充分寝かせてやることが出来ない俺は
謝るしかない。
「でも久しぶりだったから…
終わりたくなかったんだよ。悪かった」
髪に口づけを落とすと、
睦はちらりとこちらに目を向け
スッとそらした。
「……なんだ?」
「…んー…私も
終わって欲しくなかったから…いいの…」
照れくさそうに言って
俺の胸にうずまっていく。
「そりゃあ…嬉しいな…」
ぎゅっと抱きしめて
艶やかな髪に頬を擦り寄せた。
なんて可愛いヤツなんだ。
そんな可愛い睦は
不可解だというように首を傾げた。
「…うれしい…?」
「あぁ。俺のこと、求めてくれてる証拠だろ?
愛しい女に求められて
嬉しくねぇ男なんかいねぇよ」
言いながら俺は頭をもたげ、周囲を見渡す。
睦の背中側に
無造作に脱ぎ捨てられていた夜着を取り
布団の中に引き入れた。
「冷たっ」
布団の外にあったため冷え切っていた生地に
身を震わせる睦に、
「悪ィな…。でもほら、
そろそろ何か身につけとかねぇと…」
うまいこと開いた夜着を巻きつける。
夜着ごとあたためるように抱きしめてやった時…
タイミングが良いのか悪いのか、
ドタドタという足音が聞こえてきた。
あぁ…来やがった…
「おはよー!」
何度教えても直らないこの
パシーン!と勢いしかない開け方。
睦のいない所ではかなりの確率でやりやがる。
いや、今は睦もいるが、
大きく出られないのがイタイ所だな…
「とうと、おはよ」
勢いよく飛び込んできた弥生の後を
正反対のしとやかさでついて来た睦月。
おとなしく聞き分けのいい睦月は
睦に言われたことはほぼ守る…
俺の布団に飛び乗ろうと踏み込んだ瞬間、
弥生が違和感に気づき固まった。
「…お父さん、なんで裸なの?」
「裸じゃねぇ。ちゃんと着てる」
咄嗟に睦を隠そうとして
布団から抜け出た俺の姿は丸見え。
あー、諸肌脱ぐにとどめといてよかった。
「……‼︎」
布団の中に睦がいる事に気がついた弥生は
顔を青くして一歩引いた。