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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





「おいそりゃ穏やかじゃねぇな、
どこが悪ィんだ」

睦の横面を撫でる。

「違うの、大丈夫なの」

俺は少し不安を覚えた。
大切な睦に病の気があったんじゃ
ちゃんとした医者に診せなくてはならない。

「心配させんなよ、早く言え」

先の見えない話に苛立った。
その苛立ちは睦に伝わったのか
焦り出したのがわかった。
…だからだろう。
突然、

「…帰り道に言われたんだ。
おめでたなんじゃないかって」

核心をついたのは。

「へぇ…え?」

そんなマヌケな返事をしてしまうほど唐突だった。

『ご懐妊です』
あの日フザけて言った胡蝶の言葉が
耳の奥に蘇る。

「またあいつ…おちょくんのもいい加減に…」

「でも食の好みが変わったのも、吐いちゃうのも
激しい気分の浮き沈みも
全部あてはまってるって言われた。
醤油を飲みたくなったのも、
たまにそういう人がいるって。
タバコを食べたくなる人もいるって聞いたよ」

「…いやいや何いってんのお前…
だって…え?でも…月のモノ、来てんだろうが」

睦はウッと言葉を詰まらせた。

「…は?ねぇの…?」

「あの…私、不順というか…
来ない月も普通にあるから…
それかなって思ってて…
2ヶ月か3ヶ月くらい、無いの…」

「…言えよ」

「だってほんといつもの事だったから、
言うような事じゃない、もの…」

申し訳なさそうに下を向く。
俺はそれを見つめて、
情けない事に何も考えられなくなった。

「…じゃ、どういう、ことなんだよ…」

睦はあちこちに視線を彷徨わせながら

「…しのぶさんが言うには、
可能性が高いって…でも熱も高めだし
条件は揃ってるみたいで…」

確かにこいつあったけぇ。
…もともとか。

「……いるの?」

俺は睦の腹を指差した。

「いやだから、まだ確実じゃないの…
まだ早い時期だから
はっきりはわからないけどってしのぶさん…っ」

俺は言葉にならず
睦をただ抱きしめた。
さっき、
俺を止めるための口実だなんて思ったことを
申し訳なく思った。




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