第17章 愛月撤灯

追い詰めると、
睦は困惑している様子。
しょうがねぇな…

「睦は、俺を？」

「…すき」

「違う、それじゃ弱ぇ。睦は俺を？」

「愛、してる…」

「よし。俺は睦を？」

「——愛してる」

「そう。で、俺は、お前との子を、」

「…望んでる？」

「あぁ。睦は？」

「…私、は…」

「怖ぇから、いやか」

「……」

「それとも、俺と一緒に成長するか？」

「成、長…？」

睦はふと、俺と目を合わせた。

「あぁ。俺と2人で、
一緒に親になっていけばいいと思うんだ。
お互い幸せな環境でばかり
暮らして来られなかったけどよ、
だからこそ、どうすりゃ幸せになれるかが
わかるような気がするんだ。
お前が間違えてりゃ、俺が軌道修正する。
その逆の時は、お前に止めてもらいたい」

睦は何も言わずに聞いている。
俺は、先走ったことを言ってねぇかな…？

「そうやって、成長していこう？
なぁ睦、俺のために子を産んでくれ。
睦にしか出来ない事だ」

「…私にしか…」

止まった涙が、また零れていく。

「当たり前ェだろ。睦とでなくちゃ嫌だ」

誘うように、小さな口づけを繰り返した。
睦が、そんな俺に応えてくれる。

「…睦、」

唇を触れ合わせ

「そのままの睦を、愛してるよ」

風のように囁いてやった。

ホントのことだ。
お前しか居ないって、
ちゃんと届ける事ができただろうか。
睦、しか、居ねぇって
ずっと言ってんのに…。

俺は、唇を睦の肌の上に滑らせる。
鼻から抜ける、甘い声。

拒む様子はなかった。
そうか…俺をさけていたのは、
そういうこと。
平たく言えば、
子作りを拒んでいたという事だったんだ。
それほどの恐怖を、
今の俺の説得だけで払拭できたのだろうか。
……

いくら単純な女だからといってもさすがに…

「睦…？」

「…ん…」