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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





「最近ツラいだろう?
1度ちゃんと診てもらおう」

なんだか、天元の目が怖い。
いつもの優しい天元じゃない…。

私は腕を戻そうとするが
ぴくりとも動かす事ができなかった。

「天元…。私は大丈夫だよ…
お医者なんか行かなくても大丈夫」

声が震える。

「そうか…じゃあ、お前は母親になれるのか?」

「…え?」

母親…?

「なんで、そんな事を訊くの…?」

「お前が、母親になれるのか」

「天元が、言ってくれたんでしょ…?
おばちゃんみたいな、いい母親になるって…
だから私…」

「ほんとになれると思ってんのか」

冷たい目、凍てついた声…
たまらず掴まれた腕を振り払った瞬間…




私はがばっと起き上がった。
ぱっと横を見ると、
穏やかに眠る、いつもの天元。
天元…。

夢だ。
夢だった。
私は胸に手をやった。

ドクドクと、すごい振動。
鼓動が早い。

怖かった。
あんな、
…あんなこと、天元が思っているわけがない。

私の、闇なんだ。
私自身が、天元にああ思われてるんだと
心の奥底で思い違いをしているんだ。

天元を、信用しきれていない?
それとも、自分に、自信がなさすぎて…?

何であんな夢を見たんだろう…。

自分の腕を抱きしめた時、

「睦…?」

不意に名前をよばれ、

「ひっ…!」

飛び上がった。
必要以上に怯えた私を見て、
慌てて起き上がる天元は、
私を覗き込んで

「どうした睦。……睦?
何だお前、この汗…」

私の肩に触れたその手を見た。

前髪をかき上げてくれて
額の汗をぬぐってくれる。

さっきの夢が、瞳の裏に焼き付いて、
まともに天元の顔を見られない。
気づかれたくないと思うのに、
体の震えを止められない。

「どうした睦?震えてる」

そっと背中に回された腕が
優しく私を抱き寄せた。

びくりと肩をすくませて
彼の胸を
力を込めて押しやった。

そうされた天元は、
驚いて私を見下ろした。

「……睦…?」

気づかれた…

「ごめんなさい!汗がひどくて…
あなたも汚れてしまう。
気持ち悪いし着替えてくるね!」

何とかそれだけ告げると、
私は彼の部屋を飛び出した。



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