第17章 愛月撤灯
「お前も、俺を生かした責任とれよ…?」
伸び上がり、睦の腕から抜け出て
眠る睦の唇に口づけをした。
閉じた目を開くと、
ぴくりともせずに眠る睦がいた。
起こしたいわけじゃなかった。
睦に触れたい、ただの俺の身勝手だ。
食むようにして、
ゆっくりと柔らかい唇を弄ぶ。
愛しい睦。
こうやって触れているだけで
なんて幸せな気持ちになるんだろう。
「…ん…」
睦は眉寄せ、少しだけ身じろぎをする。
…そんな気はなかったにしても
さすがに起きるよな…
ふわっと瞼を開けて
眼前に俺の目を見つけると
起こされたのに気を悪くするでもなく
目を細めて笑い
ちゅ、っと、睦から口づけをくれた。
起き抜けに、そんな事をしてくれるのかよ…
嬉しくなった俺は
体重をかけて仰向けにし、
睦を押しひしぐ。
強く押し付けた唇。
近づいた睦の肌から立つ甘い香りは
昨夜の色々を思い出させた。
睦が俺を拒まなければ、このまま…
「…天元…っ」
何とか顔を背け
俺の支配から逃れた睦が、
「だめ…」
可愛く睨む。
例外なく、逆効果だ。
「…口づけもか?」
「このまま続けたら、
我慢できなくなるでしょう?」
「睦が?」
「…っ天元が!」
お前もだろ。
真っ赤に頬染めちゃって。
「何でそれじゃダメなんだよ」
「何で…って、」
言い淀む睦に
もう1度口づける。
慌てて俺の頬に両手を添え、
後ろにぐいっと押しやった。
「ちょっとっ」
「ダメな理由、見つかんねぇんだろ?」
「…えぇと」
「無理すんな。
愛し合ってる俺たちが体を繋げるのに
理由もいらなきゃ時間も関係ねぇって事だ」
「そっそんなわけないっ!」
「そのために昨夜は、1回で終わったんだ」
「そんなこと訊いてないよ!わっ待って!」
そう。
睦を愛でるのに、
理由とか理屈とか必要ねぇの。
ただ、愛してるだけだ。
どんな状況でも、……例えば
朝だろうと夜だろうと
快楽を植えつけた睦の身体は
結局俺を拒み切れず、
可愛く啼きながら、腫れ上がる俺の欲を
結局受け入れざるを得なかった。