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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





手放しで褒めろとまでは言わないけれど
そんなに否定することはないと思う。
だって私は、最初にお断りしたのだから。

「…天元だったら笑って認めてくれるのに」

つい余計な事を口にすると

「一緒にすんな。あいつは頭沸いてんだろ」

「ひどいです…」

…もやもやする。
あの人の事を悪く言われたみたいで。
この2人は
そういう仲だってわかったはいるけれど…。

そんな事を思いつつ
不意に巡らせた視線の端に、
また別の何かを捉えた。

…猫…

大人の猫が2匹、仔猫が3匹。
庭の隅にかたまっているのが見えた。
その中の1匹に、見覚えがあった。

「…不死川さん、あの、…」

「あァ?」

「あそこの…猫いますよね。
あの子たちもここで?」

「あー…ずっといるなァ。
仔猫が生まれちまって
動かすワケにも行かなくてよ」

ガシガシと頭を掻く不死川さん。

…またまた。仔猫なんかいなくたって
追い出したりしないくせに。
いい人なのはわかりきっているのだから、
別に悪ぶらなくたっていいのにな。

「あの子も…?」

「あの子?」

「あの、赤い縮緬の首輪の子」

「あいつは違う…つうかまた来てんのか。
ありゃ煉獄にやったヤツだ。
今いる仔猫の前に生んだ猫なんだが、
ああやってすぐ母猫に会いにきやがる」

「…そうなんですね」

天元と川沿いの木の下にいた、
あの時の猫に違いなかった。
こちらを意味ありげに見つめていたっけ。
…こんなふうに再会するとは
夢にも思わなかった。


そこへ玄弥くんが帰宅。

「あ、睦さん、こんにちは」

ぎこちなく、でもにこっと笑ってくれる。
あぁ、癒されるなぁ…。

「玄弥くん、おかえりなさい!
早いお帰りだね…」

そう思って時計を見たけれど
全然早くなかった。

「いけない!長居しちゃった、私も帰ります!」

買い物カゴを手に取ると立ち上がり、

「不死川さん、長い時間お邪魔して
申し訳ありませんでした」

「おォ、またいつでも来い」

不死川さんも言いながら立ち上がる。

「ありがとうございます!」

嬉しい言葉をもらって
忘れてしまいそうになったけれど
何とか踏みとどまり玄弥くんの方を見やった。


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