• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





「薬飲むくらいなら吐いてスッキリする」

胸元をさすりながら
睦は唸るように言った。
そこまで言われて飲ますのもなぁ…。

「じゃ吐いて来い」

「いやだよ。苦しいもん」

「どっちだよ!」

「どっちもヤ」

そしてまた一口、茶を飲んだ。

あー、わがままだ。
睦がわがまま言い出した。
……可愛い。

「ならどうすんだ」

「もうしばらくここに座ってるよ。
天元はもう休む?お布団、用意する?」

いやいや、

「今お前にそんな事させらんねぇよ。
睦が休むまでここにいる」

俺は、座る睦の後ろについて
身体をもたれさせてやる。

「楽な体制とっとけよ」

睦は嬉しそうに微笑んで

「うん、ありがとう。厄介者でごめんね」

大して悪びれもせずに睦は笑った。

「睦の管理は俺の大切な役割だ」

「私の管理?」

 全身でもたれて、コロコロ笑う。

「そう。俺が管理しねぇと、
もっとひでぇ事になるだろ?」

「うん、そうだね。ありがとう」

睦は
胸焼けを起こしているとは思えねぇような
優しく穏やかな笑顔を浮かべた。

「天元、あのね…」

「ん…?」

急に笑みをひそめた睦は
緊張した面持ちで話し始めた。
俺も少しだけ、身構える。

「まだ小さかった時にね、
…初めて会った時ね…?」

「あぁ」

「あの時、『俺がお前を守ってやる』って、
言ってくれた時、
私ほんとに嬉しかったよ。
最初は、あの男の子が天元だって
気づかなかったけど…。
私なんかのこと守ってくれる人がいるんだなぁって。
そんな事を
言ってくれる人がいるんだなぁって思った。
すごく幸せだったんだ」

「…おぉ、そうか…」

睦の話を聞きながら、
何故今このタイミングで
俺にそれを聞かせるのか、
よくわからなかった。





/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp