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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





私は天ぷらの準備を進めながら
昔話を続けた。
彼も、しっかり聞いてくれるものだから
話は止まらなかった。

「それをお守りみたいに大切に持っていたのに…
ちょっと……捨てられてしまって…」

そこまで言うと、
少し眉を下げた天元が私の背中をさすってくれる。

「ふふ、ありがとう。でもね、
あの、天元がくれた蜻蛉玉、あれ、
まったく同じ色をしているの。
それに、天元の着物。あれも、
そっくりな色なんだよ?」

「そう、だったのか。お前にとっては
親父さんとの大切な思い出って事か」

「…そうなのかな?そうかも、しれない」

私はパッと顔を上げ、

「長い話でごめんね!そろそろ揚げるから、
お部屋に行ってて。油もはねるし」

暗い話をしながら作るごはんなんて
おいしくならない。

「おいしくなるようにちゃんと作るからね!」

私が意気込むと、
彼は楽しそうに笑って

「期待してる」

晴れやかに笑って台所を後にした。












「うー気持ち悪い…」

晩メシの片付けも終わり、まったりしている時間。
茶の間に戻った睦が呻いた。

「そりゃお前、食い過ぎだろアレは」

俺は大いに呆れた。
睦は大量の天ぷらを食った。
俺が止めるのも聞かず、
俺と同じくらいの量を食ったのだから
胸焼けも起こすだろう。

「わかり切ってて、何であんなに食うんだよ」

「おいしかったのよぉ」

「イモが?」

「そう、」

さつま芋の天ぷら…

「確かに旬だがな…」

甘いモン好きのこいつにゃ
やめられねぇのもわかる…が。

「これから作る量を考えろ。
何か知らんがお前このごろ
大量に作るだろ」

「うん…なんでかな。
もっと!…って思っちゃうんだよね」

自分でも首を捻っている。
渋い顔で、茶を一口飲み、
胸焼けをごまかしているようだが…。

「…胃薬のむか」

なんとなくを装って訊いてみる。

「えー薬?いらない」

ものすごく嫌そうな顔をした。

「スッキリすんだからいいだろ」

「えぇ…逆に悪くなりそう」

このやろ…

「俺の薬だぞ。んなわけねぇ。
だいたい薬、克服したろうが」



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