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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





熱っぽく囁いて
天元は私の口内を荒らす。

違うってば。
いつも言ってるじゃない…
天元じゃないの。
私が、だよ。
私がおかしくなってくんだ。

そんな愛しげに、情熱を込めた口づけをされて
私はどうしたらいいかわからなくなる。
自分が、ひどくいやらしい女みたいで
怖くなる。

「天、元っ」

彼の胸に強く腕を立てて離れた。

「もう、わかったから…
喜んでくれて、私も、嬉しい…」

呼吸を乱して、
それでも何とか気持ちを告げると、

「…何が、わかったんだ…?」

真剣な瞳が私を見つめてくる。
悲しげにも見えるその瞳…
目が、離せなくなった。

「まだ何も、伝えてねぇよ」

そう言って唇を寄せる彼は、

「え…や、待って、もうやめ…っ」

待つ気もなければ、やめる気もない。

「天元もうこれ以上はいいにして…」

早口で告げた私をふと見つめ、

「……身体が、疼くから…?」

なぜか嬉しそうに微笑んだ。
そのきれいな笑顔に見惚れていると

「…そうなんだろ?」

私を惑わす声で囁いた。
小さく、首を横に振ってみる。
我ながら、なんて浅はかな行動だろう。

「違うって…」

鷹の前の雀…とでも言うのか、
私は、手も足も出ない気になって来た。
こんな状況でこんなふうに拒否しても、
逆効果だと思う…

迫る彼の唇。
もう、逃げられるわけもない。
だって私が、彼を受け入れたがっているから。

そっと触れ合う唇。
特に抵抗しない私を確認した天元は
思うように口づけを深めた。

「…ん、」

苦しい。
息も、胸も。
なんだろう、ひどく切ないな…
愛する人とこんなことをしているというのに。

「…睦?」

泣いてしまいそうな私に気がついて
鼻先をくっつけたまま天元が呼ぶ。

目を開くと、あの綺麗な瞳。
私は少しだけ顎を上げて
ちゅっと、触れるだけの口づけをした。

「…もっかい、してくれ」

あぁ、空気を含んだ甘い声…

「…だぁめ」

彼の誘惑よりも、その先の恐怖に怯えた。
あの終わりのない快感は、恐怖でしかない。

「睦、なぁ…」

甘えてねだられる。
長い腕が背中を撫で上げて
私を誘うような動きをする。

ほんと、朝も昼もお構いなしだ。



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