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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





もう、ほんの少し動いてしまえば
触れてしまう距離まで迫られて、
私はだんだん震えてくるのを感じた。

「もう、やめて…」

「何でだ?睦だって、
欲しがってるくせに…」

「そんなんじゃない…っ」

「じゃ、何だ?」

そこで喋らないでほしい。
唇が、触れてしまうから。

「はなして…」

それでも天元は、
私の後頭部に手を添えて

「そんなんすると思うか…?」

更に擦り寄ってくる。

…うぅ、だめだ。
心も体も追い詰められていく。
委ねてしまいたくなる。

この人が、わざとそうしてるってわかっているのに
私はどうしても、深みにはまってしまう。

天元が言ったように、
私がこの人を欲しているのは
一目瞭然なのだろう。

それでも動けないままの私を見て、
彼の方が動いた。

「離して、ほしい?」

「……うん」

「俺は、離したくねぇんだけど、
…どうすりゃいい?」

「え…っ」

どうすれば…?

こんな時は、私が本気で拒否するか、
彼が思い切り迫るか、押し切ったもの勝ちだ。
わかってはいるけれど、
理性と感情の間で揺れている今の私に
この人を強く拒む力なんて残っていない。

「怖いんだってば…」

涙で視界が滲んでいく。
何の涙なんだか、
自分でもよくわからなくなっていた。
何で、こんなことになったんだっけ…。













普段、物欲なんて全くない睦が
俺に贈り物と称して
小物を買って帰ってきた。
しかも自分とオソロイだと言う。
出かけた際に、どれだけ勧めても
買わせちゃくれなかったってのに、
まさか自分の意思で
こんな事をしてくれるとは
夢にも思わなかった。

そしていつも通り、自制のきかなくなる俺。

睦は震えて涙を流し、
俺を拒んでいる最中。
がんばってはいるが
俺を求めているのが瞭然としている。
そんな姿ですら、俺を誘うのだから
どうしようもねぇや。

「何が、怖い?」

ふわりと掠め取るような口づけをしてやると
キツく目を閉じ肩をすくめる。

…感じてんじゃん、思い切り。




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