• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





可愛い…

「…お前もまた、可愛い、とか思ってんだろ」

恨めしそうに私を見下ろした。

「…可愛いもん」

強く抱きしめられたまま、
彼の隙間から手を伸ばし
その猫を覗き見る。

稀に見る、美人な猫だった。
あんなものを首に巻いているということは
どこかの飼い猫なのだろう。

「睦、さっきの続きは?」

不満そうな声。
いじけた少年みたいだ。

「誰もいない、なんて。あの子が見てるじゃない」

口づけを許したのを
『誰もいない』と言った彼のせいにして
ズルをする私。
…自分が流されただけなのに。

でもそんなこと物ともしない天元は
平気で再び顔を寄せる。

「猫なんか相手にしてらんねぇっつぅの…」

「…っ!もうやめよ?」

「やめらんねぇ。愛してんの…」

「今したでしょ!」

「あんな中途半端…全然足りねぇ」

「ちょっと…うちに帰ってから…っ」

「待てるか」

逃げていたにも関わらず
簡単に私を捕らえた天元が
掬い上げるように唇を噛み合わせ
しつこく私を求めた。

口づけ以上するつもりはなさそうだけど
そういう問題じゃない…

一度覚めてしまった甘い雰囲気に
なかなか戻る事のできない私は
場所が場所なだけに落ち着かない。

この人は、どうして平気でいられるのだろう。

葉擦れの音に、
さっき聞いた『ちりん』という音が混ざり、
あの猫が去ったのだと思った。
ほんのひと撫でしてみたかったな…

そんな事を考えていると、
私の意識が他にあることに気がついた天元が
上唇に歯を立てて吸い上げる。

「…っふ、…」

つい、声を上げかけて
慌ててひっこめた。
俺に集中しろと、そう言われた気がして、
仕方なく私は
彼の背中に手を回した…












/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp