第16章 実弥さんと一緒
「睦…、ん…睦…」
気持ちを抑え切れず
なりふり構わず
噛み付くような口づけを繰り返す。
「さ…実弥、さん…!」
戸惑いを見せる睦にも
手加減なんかできない。
いつものように、余裕なんて見せらんねぇ。
「ん…」
「すき…」
睦の言葉に、俺はつい唇を離す。
そんな事、言う女じゃねぇ。
ほとんど初めてだ。
想われていたに違いない。
だが、恥ずかしがって言葉にはしねぇ。
タガが外れたのを感じた。
無言で睦の手を引き
自分の部屋へと向かう。
「…あの、実弥さん…?」
不安そうな声を上げるが、
俺は正気を失っていて返事すらできなかった。
躊躇いながらも素直についてくる睦を
部屋の中に押し込め、
敷いてあった布団へと押し倒す。
その上に覆い被さり、
睦の髪や頬に触れた。
くすぐったいのか、
この状況に怯えているのか
ぴくりと跳ねる体。
そっと伏せられた瞼に、唇でふれる。
「実弥、さん…
私訊かなくちゃいけない事…っ」
うるさい唇を強引に塞いだ。
そんなんより大切な事がある。
「睦」
強く呼ぶと、気圧されたように
「……はい」
返事をした。
「俺から、離れてくんじゃねぇよ」
「…はい」
「何でも話せェ」
「…!…は、い」
「…好きだ」
そう言うと睦は目を開き
「私も、すき」
俺の目を見てはっきりと言った。
こいつが怯えないよう
優しく口づけをする。
体をなぞるように撫で下ろしていくと
その瞬間、
恐怖と戦うように
きゅっと俺の首にしがみついた。
…受け入れるのか、俺を。
額に頬に、耳に、そして唇に。
順に口づけていき、
睦の白い首筋に
顔をうずめる。
体を硬くした睦が
俺の肩をつかんだ。
「…っあ…」
遠慮がちな可愛い声。
もっと聞きたくて
多少手荒な愛撫を繰り返した。
「…や、ぁ…っ実弥さ、んっ」
「睦、ちゃんと…愛してるから…」
睦がハッと、息をのんだのがわかる。
「大丈夫…怖く、ねぇよ…」