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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第16章 実弥さんと一緒





「ッ‼︎」

私は、急に怖くなってしまって、
外へ逃げ出すか、奥へ引っ込むか
瞬時に判断できず、つい、
実弥さんを突き飛ばしてしまった。

「…っ、おい!」

実弥さんが怯んだ隙に、外へと向かった。

彼に直接訊けばいいなんて思っていたくせに
実際会う勇気すらない自分が情け無い。

「待て睦!」

彼が慌てて追ってくるのがわかる。
この人に追われて、
逃げられるわけがない。
でも今は嫌なの。
私は必死だった。

「待て!」

玄関から出たすぐの所で
あっけなく捕まってしまう。

私はせめてもの抵抗。
つかまれた腕を振り払うべく暴れた。

「睦!どうしたんだお前!」

実弥さんが戸惑ったような声を上げる。

こんな自分を…
みっともない姿を見られたくない。

「離して!」

今は放っておいて…

「睦!…おい‼︎」

何度も私を呼ぶ実弥さん。
私はただ、手を離して欲しくて
なのに思い通りにならないこの状況に
知らないうちに涙を流していた。











俺は柄にもなく、少し浮かれていた。
いや。少し、ではないかもしれない。

今まで生きてきたうちで
初と言ってもいい程の浮かれっぷりだ。

軽い足取りで帰宅すると、
玄関先に睦を見つける。

声をかけると、
まるで化け物でも見つけたような目をされ
突然、突き飛ばされた。

「…っ、おい!」

その隙をつかれ、
睦は玄関を駆け出て行く。

激しい違和感を覚え
俺は慌てて追いかけた。

「待て!」

待てと言われて待つくらいなら
はじめから逃げたりしねぇだろう。
そうだ、
こいつは俺から逃げているのだ。
何故?

ただ、こいつが逃げようと、逃す俺ではない。
腕をつかんだ途端、
今度は俺の手から逃れる為に暴れ出す。
なんだ、何があった。

普段とのあまりの違いに
俺は少し戸惑った。

「離して!」

睦は叫び、尚ももがく。

「睦!おい!」

名を呼んでも、こちらを見ねぇ。
俺と、目を合わせねぇ。

わけもわからず、
俺から離れようとする睦に
少し苛立ちを覚える。


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