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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第16章 実弥さんと一緒





気持ちを切り替えて、
今日もがんばろう。
がんばれる。
あの人のおかげで…。




次の日の午後、実弥さんは
用事があると言って出かけて行った。
私も夕飯の買い物をしたくて外へ出た。

いつものお魚屋さんに行きたかったのに
まだ土地勘のない私は
道に迷っていた。

すると、ひっそりとした小さな神社に出た。
木が生い茂り、ざわざわと揺れている。
その木の隙間に、見慣れた人影を見た。
実弥さん。
こんな所で、何をしているんだろう。
用事って言ってたけれど。

何をするでもなく、1人ただ立っている。
…誰かを待っている?

それにしてもあんな、
薄暗くて人目につかないような場所で。

しばらくすると、
髪の長い女性が実弥さんの元へ駆け寄って行く。
その女性は何かを差し出し、
実弥さんは嬉しそうにそれを受け取った。

楽しそうに会話をしている。
その女性は、実弥さんの耳元に顔を寄せ、
囁くような仕草を見せた。
実弥さんは少し照れたようにそっぽを向く。

遠目にも楽しそうな2人。
下手をしたら、
恋人にも見えてしまいそうなそのシーンを
私は見ていられなくなって
そのままその場を離れた。

——どうしよう。
鼓動が早い。
見てはいけないものを見てしまった?

私は走った。
体を動かしていないと、
とてもじゃないがいられない。

違う違う、実弥さんはそんな人じゃないから。
何かあるんだよ。
当たり前だよ。

…キレイな人だったや。キレイな…

いや、違うって。

…何を受け取っていたんだろう。

——なんでもいいじゃん。
実弥さんの勝手だよ。

勝手…?
うん、そう。

なんであんな、人目につかない場所で?

知られたくない事もあるよ。
見られないように、
わざわざあんな所で会っていたのに
私が運悪く見てしまったから悪いんだ。

運、良く、見てしまったのかな。

ていうか、見てしまった私が悪いの?

…だめだ。だめだめ!
前向きに考えても、すぐに闇に囚われる。

もう、本人に直接訊いたらいいんだ!

随分遠回りになってしまったが、
私は家への道をたどり出した。

ちょうど、玄関に入った所で、
後ろから実弥さんが声をかけてきた。



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