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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第16章 実弥さんと一緒





にっこりと微笑んで

「すみません。用事もあるので失礼します。
お体、お大事にして下さい」

部屋を後にした。
私は申し訳ないやら、少し淋しいやらで
彼の出て行ったドアを見やる。
すると母が、

「相変わらず素敵ね」

ぼそりと言った。

「…うん。…そんなことより、体調は?
気分とか、悪くない?」

「今は大丈夫…本当にごめんね」

大丈夫、と言いつつ、
やっぱり話すのもツラそうだ。
元気とは程遠い声。

「もういいよ。でも無理だけはしないで」

私がそう伝えると、

「うん、わかったよ。
今回の事は反省してるし、
もうこんなふうにならないように気をつける」

そう約束してくれた。

安心した私は、
母を休ませた方がいい気がして
また明日来るよと伝えようとしたのだが…。

「睦、実弥さんと、
お付き合いしてるのよね?」

「え?…あー…うん…」 

「結婚、とか?」

「え!ま、まだそんな事は…」

「そう…」

何だ、その明らかな落胆ぶりは。
生きているうちに孫を…、
とか言い出すんじゃないだろうな。
そんなのはまだまだ先だから長生きしてくれ。

私が身構えていると

「同棲でもすれば?」

「いやいや、孫なんかまだ早……は⁉︎」

あれ、早とちりか。
…え、

「え?…孫?何言ってるの」

「違う違う!どっちもおかしい!同棲?」

大事な一人娘になんて事をススめてくるんだ。

「だってそういうの、今しかできないのに」

「何言ってるの⁉︎そんな事するわけないじゃない!
それでなくても今のこの状況で
お母さん置いて家出るわけないでしよ!」

「いいのよ、私は大丈夫だから」

どうしちゃったの、お母さん…

「いや、大丈夫なわけないでしょ?」

「本当に。大丈夫。私に遠慮いらないのよ?」

「何…何で。——私を、追い出したいの?」

そんなふうに、聴こえてしまった。
悲しくて…

そこへガチャっとドアを開けて
1人の見知らぬ男性が入って来た。
……だれ?







私は病院を出て、
1人ふらふらと歩いていた。
ここへ来た時はすでに夕方近かったため、
もうすっかり夜で、
冷たい風が容赦なく私に吹き付ける。

あぁ風よ…
いっそ私を、どこか遠くへ吹き飛ばしてほしい…



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