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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第15章 秋祭り【実弥】






その人が
愛しげに向けた視線の先に佇むきれいな女性。
飴細工が出来ていく様をうっとりと見つめていた。

「アレを見出したら止まんねぇのよ」

なんて優しい目をするんだろ。

「…きれいな人ですね」

「あぁ、きれいだろ」

自慢げに言うその人を、直視できずに俯いた。

「……」

そんな私を見て、
何かを感じ取ってくれたのか、

「あんたもきれいだけどな?」

取り繕うように言った。

「…お世辞なんていいです。
私なんかてんで子どもです」

あ、なんだか嫌な言い方しちゃった。
これじゃほんとに子どもだよ。

「俺は世辞なんてめんどくせぇし言わねぇよ」

でもその人は嫌な顔ひとつせずに笑う。

「なんだ、いじけてんのか?」

「…だって、みんなして私を
お嬢ちゃんお嬢ちゃんて…
そんなに子どもみたいですか?」

「子ども、ねぇ…。元気があんのはいい事だ。
しかも愛情こめた呼び方じゃねぇの。
そんなあんたを不死川は気に入ってんだろ?」

うぅ…

「それは、…さっき実弥さんにも言われました」

「なんだそりゃ。ごちそーさん」

「惚気たワケじゃありません!」

「そーかい。
…女ってみんな自分に自信持てねぇの?」

「え?」

「あいつも昔はすぐに、
私なんか私なんかって言ってたよ」

「あんなにきれいな人が?」

「そう思うだろ?あんたも同じなんじゃねぇの?」

……同じ。

「自分が思うほど、周りはそう思ってねぇって事。
お嬢ちゃん、なんてジジイからすりゃ
周りのほとんどの女はお嬢ちゃんだって」

カラカラと笑っていたその人が
急に目つきを変えた。
何事かと思っているうちに、

「俺そろそろ行くわ」

急に話を切り上げ、
お連れの女性の肩を抱いて
そそくさと行ってしまった。
……

「睦!」

それと入れ替わるように
聞き慣れた声に呼ばれた。
振り向くと愛しい人が見えて
なんだかひどくホッとする。

「よかった…」

向こうもホッと息をついて
私の頭に手を置いた。

「あ″ー…くそ、人が多すぎなんだよ…」

そのまま彼の胸に頭を引き寄せられる。
目の前にある首筋が汗で光ってる…

「何ともなかったか?」

優しく訊いてもらって、
私はものすごく嬉しくなった。


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