第14章 可愛い邪魔者
時間をかけて深めて来たものを
ぶち壊されてなるものか。
「あんなのだ!畜生め。
俺はお前が好きなんだよ!」
無理矢理こちらを向かせ
真上から見下ろして告白をする。
急にいつもの調子に戻った俺に、
睦は驚きを隠せずにいる。
「な、に…?」
「睦を愛してんの俺は。
何があってもお前を守ってみせんの、
今日みてぇに!」
「う、うん…」
俺の勢いに気圧されて、調子よく返事をした。
「じゃあ睦はどうすんだよ!」
「え、ど、どう…?
えぇと…天元を信じて待ちます」
「信じて…?」
「うん。天元はきっと来てくれるから。
前にも言った。天元がいてくれるから
安心して無茶できるって」
「そうか」
…そういうことか。
「なら俺は意地でもお前のこと守り抜く」
誰のせいにもしねぇ。
「どこにいても、
すぐ睦の元に駆けつけるからな」
睦の肩に頬を乗せて甘えると
愛しげに髪を撫でてくれ、
「うん。天元のこと信じてめちゃくちゃするから
ちゃんとそばで見ててね」
いたずらっぽく笑った。
「そりゃいい度胸だなぁ。受けて立つぜ」
睦は確実に、
俺に同調してる。
俺が悲しきゃ睦も同じになるんだ。
故に、俺が上向きだと、睦も同じになる。
「…でも、あのにゃんこ可愛かったな…」
ぽつりと、気に食わねぇ事を言う。
「ねぇ、」
嫌な予感しかしねぇ。
その続き、聞きたくねぇ…
「私、猫飼いた「くねぇ」
予想通りのことをぬかす睦の
言葉尻を奪う。
睦はしばし、言葉を失った。
「なんで…?可愛いのに」
「だからだよ。俺ほったらかしにして
あんなん可愛がりやがって」
そうだ、さっきだって俺がそばにいるってのに
あんなチビと戯れやがって。
「えぇ?」
いまいち信じられないような反応をする睦。
俺は構わず続けた。
「俺以外の男を
愛しげに抱きしめるとかありえねぇから。
よく堪えたと褒めてもらいてぇくらいだ」
「……」