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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第14章 可愛い邪魔者





すでに夕暮れ時。

雨が降り出したのも手伝って、外はもう暗い。

「…天元、真っ暗になるよ…?」

俺が怒ってるのと勘違いしている睦は
遠慮がちに小さく呟いた。

違う。
怒ってんじゃなく、焦ってたんだ。

「あぁ、そうだな…怖ぇか?」

睦がかぶりを振ったのがわかる。
艶やかな髪を撫で、額に口づけた。

何をいつまでしても、
拒みもしなくなった睦。

「…なぁ、俺、怒ってねぇよ…?」

「…怒ってた」

怯えたような声が胸に刺さる。

「怒ってんじゃねぇんだよ」

「……」

あんな大声で怒鳴ったら
そう思われても仕方ねぇか。
こいつに、こうやって怯えられんの
すげぇ淋しくてヤなのに…。
…自業自得…か…

あれ、もしかしてこの従順なワケは…

「俺が怒ってる、と思ってるから、
拒否しねえ、の…?」

「……違う。これで、天元が安心できるなら
気の済むまでこうしてようと思っただけ」

睦の声にウソはなかった。

「俺の、ため…?」

ウソでもいいから
そう言ってもらいたかった。
願いを込めての、一言だった。

「…そう、天元のため。
だって私のせいで、つらい思いをさせた…」

悲しそうに言って、
俺の胸に顔をうずめる。

…こいつも、苦しんでる。
俺のせいで。

「ごめんな……睦が、大切なんだよ」

これでもかと、顔中に口付けた。
もう、段々とめちゃくちゃにしたくなって来た。
睦の無事が徐々に理解できて、
自分が落ち着いて来た証かもしれない。

「…くすぐったい…っ」

俺の襟元を握り込み
甘い刺激に耐える睦。

「…あのチビ猫め。
あいつが俺の睦を
危険にさらしたんだ」

そうだ。
そもそもの元凶はあいつじゃねぇか。
あんなちっこいのにこの俺様が乱されるとか…

「あの子は…」

言いかけてやめた睦は
まだ俺に遠慮している。
睦をこんなにしたのも、あのちっこいのだ。

「あんなのに邪魔されてたまるか!」

やっと何でも言い合える仲になれたんだ。

「え…?あんなの、って…」




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