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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第14章 可愛い邪魔者





「もう景色は充分楽しんだかよ」

そう言った天元の機嫌は多少よくなったみたい。

「そんなの見てる余裕なかったよ」

この子を助けるのに必死だった。

「当たり前だ。そんな理由でこんな事してたら
お仕置きモンだ」

……

「それはイヤだ」

お仕置き、の響きからは
およそいい想像はできない。

「イヤならもう絶対すんなよ」

私の目を見て強く言う。

「…はい」

私もそれを見つめ返してはっきり言った。
だって、この人を怒らせたり
悲しませたりするのは違うのだ。

「これからは天元をちゃんと待つから」

天元は大きく息を吸い、
は———っと長く吐いた。

「あ——…よかった。
お前落ちるかと思った…」

「私も…」

「もういい、下りるぞ」

相変わらず事も無げに、
そこから飛び降りようとする。
子猫を抱いた私を抱き上げ、ぴょんと…。

私が怖くないように
しっかりと抱えてくれるのはありがたいけれど、
…こわいですっ。

「ぅぅ…っ」

小さく呻いてしまった私を
きゅっと強く抱いて

「もう大丈夫だ」

優しく言ってくれる。
目を開けるともう地上で、私は胸を撫で下ろした。

「ありがと…」

お礼を告げ身を起こすのに、
天元は私を下ろす事なく、そのまま歩き出す。

「あの…歩けるよ…?」

頬が熱くなるのを感じながら
私は少し慌てる。
でも彼は、呆れたようにチラリと私を見やり

「足、震えてるだろ。しかもお前裸足だし。
おとなしくしてろ」

…確かに膝が震えてる。
地上に戻って来た今、ホッとしすぎて…

「今更だけど…怖かった…」

天元の胸にもたれかかった。

「そうだろうな。でもその猫は
お前に助けられて安心しただろうよ」

ふと表情を緩めた天元を見て、ウルッとしてしまう。
いやいや、泣いてる場合か。

「うん…そうだといいな」

「そうでなきゃやってらんねぇっつうの。…ほら」

縁側から私の部屋に入り、
ゆっくり下ろしてくれる。
まだ震えている私はその場にへたり込み、

「猫ちゃん、よかったねぇ」

ぎゅっとその子を抱きしめた。
すると子猫はやっと鳴きやんで
私の事を不思議そうに見上げた。




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