第13章 輪廻
キスを、した。
両手を離し、逃げないように抱き込んで。
解放された手で、ドンと俺を殴りつける。
「ん、…んんっ!」
だって、何か問題あるか?
俺のこと好きなんだったら、
キスだって許されるはずだ。
だって、好きなんだろう。
客とは違うはずだ。
明らかな差ができた。
俺に対しては、感情があるって事だ。
押し付けていただけの唇の、
角度を少し変え、
睦の下唇をゆっくり食む。
カラダを大きくびくつかせ、
きゅっと俺の服にしがみつく。
…反応してる。
そっと、触れ合う程度まで緩め、
ペロリと甘い唇を舐めてやる。
「…は…ぁっ…」
唇と同じくらい甘い吐息をついた。
その瞬間にできた隙間に、舌を差し入れる。
「…っあ⁉︎」
驚いた拍子に身を引こうとした睦の体を
強く抱きしめて閉じ込めた。
唇を強く押し付け、奥まで逃げた舌を絡め取る。
「ふっ…。ん、んッ!」
自分の口内に舌を引き入れると
その先端をちゅうっと吸いあげた。
「ん、んん…んん″っ!」
急にかくんと膝から力が抜け落ち、
立っていられなくなる睦。
強く抱きしめていたおかげで
崩れ落ちずにすんだ。
驚いて、つい唇を離してしまった俺と、
ひどく惚けてこちらを見上げる睦。
荒い呼吸、目は潤み、
すっかり仕上がっている様子。
それでも、キスをやめる気はない。
俺だけに許された、特権だ。
こいつの、唇の味を知ってるのは、この俺だけ…
そう思うと、ひどく興奮した。
再び顔を寄せる俺に気づいて、
「…っや、も、だめ…イッ、ちゃいそ…」
可愛く抵抗する。
「…イくの?」
「ん…。気持ちいの…」
「……イけ」
「やんんッ!」
強く舌を吸い上げ、
舌同士を擦り合わせる。
睦は堪えるように
俺の耳のあたりに手を伸ばした。
擦り合わせるたびに、
上顎を舌の先でくすぐってやる。
それに合わせて、背中や脇腹を
撫で下ろしていくと
カタカタと小さく震え出す身体。
絶頂が近いのだろう。
「…んっ、ん″んっ」
自分を解放すればいい。
感じるままに…。
「ん″んんーっ!」
ガクンと身体を落とす睦。
咄嗟に受け止めて
掬うように抱き上げた。