第13章 輪廻
翌朝、
目覚めた俺たちは、
やっぱりちょっと気恥ずかしくて、
互いにまともに目も合わせないまま
挨拶を交わし朝食を食べた。
さすがに残金113円の睦は
飢えていたらしく、がっつり食った。
その後俺は車を出し、
少し離れたショッピングモールへと足を伸ばした。
いらないと言い張ってきかない
睦の手を引いて、
半ば無理矢理あちこちの店を回った。
「コレは?」
「可愛いけど…いらないったら」
「何でいらねぇんだよ。お前服持ってねぇだろ」
「失礼な。ちゃんと持ってるよ」
「あんなん持ってるうちに入んねぇんだよ」
「なぁんで⁉︎上着もあるし、
Tシャツだって洗い替えあるし
下着なんか可愛いの超持ってるもん!」
「…ソレはシゴト用だろ」
俺が睨むと
「当たり前じゃん」
平然と言ってのけた。
畜生め。
どこぞの男に見せた下着なんざ
全部捨ててやる。
「新しいのに買い換えろ」
「は⁉︎なんで?まだ全然使えるのだよ?」
「客好みの下着なんかいらねぇ。
これからは俺しか見ねぇんだから、
俺に合わせて買い換えろって言ってんの」
「…っ…な、何、言ってんの…」
急激に照れだす睦。
いちいち可愛いな。
「…とりあえず服だ。
お前が選ばねぇなら俺が好きに買うぞ」
「…選んでくれるの?」
「さっきからずっと選んでんだろうが!
全拒否しやがって…」
「でも私ね、お金全然ないの…」
…知ってる。
「金の心配してんの?」
「だって買えないもの…」
申し訳無さそうに目を伏せる。
…こいつ、全然わかってねぇのか。
「…俺が、買ってやるって言ってんだけど」
「えぇッ⁉︎そんなのだめでしょ!」
「何がダメなんだよ」
俺が睨むと、目に見えて狼狽え出した。
「だってそんなの買ってもらえないよ」
…割と真面目か。
買ってもらえてラッキー!…って言うと思ってた。
ちょいちょい出てくる、あの奔放な感じは
装ってるのかな。
「俺が買いたいんだからいいんだよ。
連れて歩く女を飾って何が悪い。
だいたい連れて来たのは俺の方だ。
買ってやるって言ってる俺に恥かかせんのかよ」
「恥?かくことになるの?」
「そりゃそうだろ。
買ってやるっつってんのに、
遠慮されて買ってやれず手ぶらで帰るなんて
恥以外の何なんだよ」