第13章 輪廻
俺も後を追い、シーツの端を捲り
横になるよう促してやる。
それしか無かったがために着ている、
俺の長袖のTシャツ姿の睦は
例外なく俺の事を煽る…。
早くベッドに入ってほしい…
それなのに、俺の腕に自分のソレを絡ませ
ぎゅっと抱きしめる。
…何で体じゃなくて腕?
っていうか、当たってんよ、柔らかい胸が。
「…どうした睦?」
平静を装うのも一苦労。
「…ん。いろいろ、ありがと」
艶っぽい瞳で見上げてくる。
…誘惑してんのか?
…でも、それにノるわけにはいかない。
「この先こんなモンじゃねぇぞ?
明日はとりあえず買い物行くから。
疲れちまわないように早く寝ろ」
額に口づけてやると、
ちょっと考えてから、
「はぁい…」
一点を見つめて返事をした。
それから、俺がめくったベッドに入り、
素直に横になった。
「…おやすみなさい」
「あぁおやすみ。
シャワー浴びたらすぐ戻るから安心しな。
出来れば、ちゃんと寝とけよ?」
「…うん」
頷いた睦は、すでに寝てしまいそうだ。
あぁ、このまま眠ってしまえばいい。
悪い夢だって、俺が見ないようにしてやるから。
俺は急いでベッドルームを後にして
瞬息でシャワーを浴びて
睦の元へ戻った。
案の定、睦は深い眠りに落ちていて
俺は少しホッとする。
顔を見る限り、特に乱れた様子もなく、
心穏やかな様子。
よかった…
俺は睦に言われた通り抱き寄せる。
起こさないようにそぅっと。
高めの体温。
緩やかな寝息。
閉じられた長いまつ毛。
艶のある唇。
きれい、だな…。
枕と肩の間、首の下あたりに腕を差し込んで
両腕で小さな体を抱き込むと
眠っているくせに、
睦は俺に擦り寄ってくる。
無意識に求められて、俺は幸せな気持ちになった。
あぁ、このまま、朝が来なきゃ、
それはそれでいいかも、なんて
バカな事を考えていた。