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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第13章 輪廻





何だか奔放な睦の正体を
見たような気がした。
実は、純で可愛い女なんじゃないだろうか。
シゴトは金のために
仕方なくやってるだけなんじゃないだろうか。
俺は自分に都合よく、そう思おうとしていた。

「睦、俺シゴト行ってくるから…」

がばっと起き上がり俺の腕をつかむ。

「…何、だ…」

びっくりした。
しばらく待っても何も言わねぇ睦に

「俺が帰るまでここにいていいからな。
もし出るならカギ、置いとくぞ」

ベッド脇の小さなテーブルに
チャリっと置いた、それをまじまじと見つめながら

「…合い鍵、なんか…いいの…?」

「ん…?」

「私なんかを、信用してもいいの…?」

「…何だろうなぁ。
睦は、大丈夫な気がする。
おかしなことしたとしても、
お前を信じた俺が悪い」

ゆるりとこちらを向き、
少しだけ顔を強張らせた睦は

「…ズルい言い方…」

目が合うと、ふわっと笑った。
その笑顔が、ひどく綺麗で、
吸い寄せられるように、顔を寄せる。

睦の顔に手を掛け
見つめ合いながら鼻先が触れるまで近づいた時。

「…イヤ」

やけにはっきりとした声が耳に届いた。

「それ以上、しないで」

「…何でだ」

「何でも。それ以外なら何でもしてあげるけど」

そう言って、俺の頬にキスをする。
徐々に移動して顎のつけ根に。
…この調子なので、
昨日もあんなに抱き潰したってのに
キスは一度もしていない。

昔観た、古い映画に、
そんなシーンがあった。

「…客ともしねぇのか…?」

「しない」

……

「…俺は、客と同じ…?」

ぽつりとそんな事を口にする。
睦は俺の首筋から唇を離し固まった。

「……同じよ。昨日の報酬、いただきますから」

「……わかったよ」

睦の頭を一撫でしてから、
踏ん切りをつけるように立ち上がる。

「行ってくるわ。食い物も好きにしてろな」

わざと睦を見ないようにして
俺は家を出た。



その日は散々だった。
家に残してきた睦の事が頭から離れない。

今何をしているのか、
何を思っているのか、
考えても仕方のない事ばかりが
気になって仕方がない。

…初めて恋した中坊じゃねぇんだからよ。
勘弁してくれ。



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