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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第12章 形影一如





「宇髄さん、2人で旅行、楽しいねぇ」

彼を見上げて言うと、

「そうだな」

眉を下げて、優しく笑ってくれた。

「私、一緒にいられたらそれでいいって思ってた。
2人でお出かけするの、こんなに楽しいと
思ってなかった。…ありがと」

素直にお礼を言うと、

「そっか。楽しい事が増えて良かったなぁ」

ゆっくり頭を撫でてくれる。
私を見下ろす瞳がとっても愛しげで、
私は目が離せなくなった。

思えば、初めはこの瞳に、惹かれたんだ。
それから、声。名前を呼ばれたいと思って。
大きな手に、頭や背中を撫でてもらって…。

「…睦?」

ふいに名を呼ばれて、どきりと胸が高鳴った。
ゆるく握った拳を自分の口元に当てて
私は半歩、身を引く。

あれ…何でこんなにどきどきしてるんだろう。

「…心拍が、上がった」

「え…?」

身を引いたはずなのに、
いつのまにか間合いを詰められていて
目の前に、彼がいた。
鼻先が触れるくらい近づいて、覗き込まれる。

「……っ」

唇を噛み締めて、息をする事も出来ずにいると、

「俺相手に、まだときめいてくれんの…?」

そんな私を見て、嬉しそうに笑った。

「…っな、何で、そんな事…」

「わかるよ。全部、聴こえる」

私の髪を、一房手に取り、
目を合わせたまま、そこに口づけをした。
その仕草がひどく色気を漂わせて、
私はくらりと眩暈がした。

…聴こえる?

私は自分の胸を押さえてみる。
確かに、どきどきと
心臓が早鐘を打っている。
でも、これって…聴こえるもの?
首を捻って考えていると、

「…可愛い」

そんな事を言われ、
私のときめきは最高潮。
宇髄さんは、長い腕を私に絡めて
ぎゅうっと抱きしめてくれる。
いつもならホッとするのに、
今日はひどく、どきどきした…

「あ、の…」

どうしちゃったのかな。
こんなに、気分が高揚するなんて。
でも全然イヤじゃないんだ。

宇髄さんは、
言葉の続きを待っているかのように
ただ黙って、私の髪に顔を埋めていた。

こうしてぎゅってされるのが、すごく好き。
ちゅってされるのはもっと好き。

どきどきとうるさい心臓を抱え、
それでも私は、幸せに浸っていた。


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