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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第12章 形影一如




「そんな事ないので!近いです!」

小声で抗議するも、
宇髄さんは離れる気は微塵もないらしい。

「そうかよ、でもホラ、
お前の好きそうなモンばっかりだなぁ?」

宇髄さんはテーブルの上に広げられた
数々の料理に目をやった。
私もそれを目で追うと、彼の言う通り
様々な料理が私を待っている。
つい目を輝かせてしまった私を見て、
くくっと喉を鳴らす。

「…おちょくってますよね?
食べ物を与えとけば
機嫌が直るとでも思ってるんでしょ」

「んな事ねぇよ。
相変わらずコロコロと可愛いなぁと思っただけで」

笑いながらまた腕に力を入れる宇髄さんを押しのけて

「…やめてくださいぃ…っ」

思い切り抗議する。

「何でよ」

心から不満そうな顔をする。
この人は2人きりでなくても
平気でくっつこうとする……こんなんだったかな。
もうちょっと、
スマートでかっこよかった気がするけど…。

「…浮かれてます?」

「そりゃあ思い切り」

私が言葉を失った瞬間、

「さ、お待たせ致しました。
お食事がお済みの頃、器を下げに参ります」

大人の対応で
何事もなかったようにしてくれた仲居さんは
静かに部屋を後にした。
…呆れているに違いない。
しばらくじっとして、
足音も消えたのを確認してから…。

「人のいる所であんなくっついたりとか
妙なこと言ったりしないでください!」

「誰がいようが、睦が可愛いものは可愛い」

……

「はい?何を言ってるんですか」

「だから、お前は人目を気にしすぎってコト」

「…そんな事ありませんよ」

私が少し距離をとると、

「オイ、本気で引くなよ」

「だって最低限の礼儀だと思いませんか?」

「ここは外じゃねぇし、俺らは客だ。
向こうだって仕事してんだからいいんだよ。
ホラ、冷めねぇうちに食うぞ」

この話はもうオワリ。
そう言いたげに、私ごと立ち上がり、
隣同士でテーブルについた。

テーブルの上には大きな舟盛り。
キンメの煮付けやカニの味噌汁、
2人分のすき焼きなど、
こんなにいっぺんに出てきていいのかというくらいの
料理が並んでいる。

「いただきます」

あんまり豪華で、固まってしまった私を尻目に
宇髄さんは手を合わせお箸を持った。


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