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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第12章 形影一如





どれだけ長湯をしたのか、
…間違いなく宇髄さんのせいだが…
いや、お互い様だけど、
まぁそれは置いといて、
お風呂から上がると、
すぐに仲居さんがやって来て
夕食の支度をしてくれた。
あんまりタイミングが良くて…
ええと…偶然なのか、
宇髄さんの計算のうちなのか…。


とにかく私は、この気怠い時間を
仲居さんの前で倒れ込むわけにも行かず、
何とか笑顔でやり過ごそうと
その事だけに集中していた。
当然そんな事はお見通しの宇髄さん。
正座をする私の後ろに控えて、
不自然にならないよう寄り添ってくれる。

仲居さんに「仲がよろしいこと」と
微笑ましげに言われたが、宇髄さんは
「新婚だし、俺がこいつから離れられねぇんだ」
と、ホントともごまかしとも取れるような事を
しれっと言った。
私はつい振り返り、彼の真意の程を探る。
……。

「…どうした」

彼は私を見て、至って真面目に訊いてくる。

「いえ…」

「何だよ、変なヤツだな」

「何もない」

私はくるりと前に向き直り
仲居さんの手際の良さに見入った。
たくさんの料理を、隙間なく、美しく並べていく。

私たちの会話が途切れた所で、

「もう露天風呂には入られましたか?」

2人揃って浴衣に着替えていることから
そんな事を思ったのかもしれなかった。

「はい!とっても素敵でした!」

「ありがとうございます。
自慢の露天風呂ですので、そう言って頂けると
嬉しい限りです」

仲居さんは仕事の手を休める事なくにこりと笑った。

「あぁ、確かに気持ちよかったな」

「あら…」

何を思ったのか、仲居さんは
ツと手を止め、私たちの顔を交互に見た。
…この人、なんだかおばちゃんみたいだな。
いろいろ見透かされそう…

「そうですか。新婚さんですものね」

1人納得したように微笑んだ。
…ちょっと待って、何を想像してらっしゃいます?

「……」

私は何となく、宇髄さんを睨んだ。

「だから何なんだよ、さっきから」

「…宇髄さんの悪意を感じます」

「悪意…?心外だなオイ」

ぷいと再び前を向く私を抱え込み、

「睦、ご機嫌ナナメか」

少し楽しそうに訊いてくる。




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