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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第12章 形影一如




「わぁ、来てくれるの?ありがと。
この辺りはキレイでいいねぇ」

睦が話しかけると
音のような高い声でピーピー鳴いた。
そして小さな頭をくるりと回した。
まるで会話をしているようだ。

「うん、もう行くの?来てくれてありがと」

鳥の乗っていた手を高くかざすと、
示し合わせたようにその鳥は飛び去った。

「可愛かったね、なんていう鳥かな」

俺の腕に包まれたまま
くるりと振り向く睦は
あんまり楽しそうで…。

「睦すげぇな。
鳥にまで好かれんのか」

「…あぁ、…そうかも。
昔もね、よく鳥が私の部屋まで
遊びに来てくれてたんだ。
エサもないのに毎日来てくれて
…楽しかったなぁ」

嬉しそうに、でも少し悲しそうに
話すその表情がやけに切なくて、
俺はつい、
小さな体を抱き寄せた。

「そうか。睦の良さは
鳥にまでお見通しってことだ」

「ふふ、そんなことないよ」

「動物は、
上っ面でごまかされるモンじゃねぇんだよ」

「…んー…」

「ま、睦の良さが一番よくわかってんのは
この俺だけどな」

「あはは。何張り合ってるの」

睦は少し笑って、
ふと、真面目な顔をすると

「ありがと」

そう言って、俺の首に抱きついた。

「あぁ」

その背中をポンポンとたたいてやる。
睦は満足したのか、
スルリと腕を抜き、また景色に目を向けた。

「宇髄さん、この景色飽きないねぇ…」

ぽつりと言って背筋を伸ばし、
遠くまでみわたしている。
その無防備な肩に、そっと唇を寄せた。
ぴくりと跳ねて、
はっとこちらを振り返る。
目が合うと、
気まずそうに、そろそろと目をそらす。
逃げないのをいい事に、
俺は少しずつ場所をずらして口づけを落とした。


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