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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第12章 形影一如




俺の肩のあたりを握りしめ、
少しずつ背中を反らしていく睦の唇を味わう。

「…ん…っ」

一瞬の隙をついて顔をそらす睦を追って
再び唇を奪うと、
さすがに睦は抵抗を試みる。

「ん、う…っ」

唇の隙間から苦しげに声をもらし、
俺を押しのけようと両手に力を込めた。

口づけに溺れたままの睦の抵抗なんて、
たかが知れてる。
それでも、雫の残る頬を見てしまうと
さっきまでの泣き顔が、目の奥でチラついて…。
額を合わせて、唇を離した。

深く息を吸い、
空気を取り込む睦にはっきりと言う。

「…ちゃんと愛してるからな?
もう一度言うけど、お前がして悪ィ事は
何もねぇんだ。俺はちゃんと受け止めるから…
泣くな」

「…じゃあ何であんなこと言ったんですか?
急に好きとか言うなって、言いましたよね?」

あー、イタイとこつくのね睦ちゃん。

「だから、悪かったって。
言われて嬉しいんだ、それは勘違いすんなよ」

「………」

「お前、俺のこと、まだわかってねぇのか?
舞い上がったら、場所なんか関係なく
お前のこと抱くんだぞ?
こんな場所で俺を喜ばせたら、人もいねぇし
間違いなく我慢がきかなくなる。
そういう、意味だが」

いや、俺だってそんなアホじゃねぇ。
そんな事しねぇ。するわけねぇ。
でもちょっと、大袈裟に言ってみる。
そうでなきゃ、俺の身がもたねぇんだよ。

思惑通り、睦は言葉を失い、
惚けて、うん、と頷いてみせた。








テーブルを挟んで向かい側に座る睦は
ひどく幸せそうに微笑んだ。
こいつを笑わせるためには
やっぱり甘味しかねぇな。
効果覿面だ。

「あまーい!おいしい!」

にっこにこの睦は、まさに喜怒哀楽…
を、見事に表現していた。

ここに来て喜び、ケンカして不機嫌になり、
勘違いで泣いて、甘味で仕上げの笑顔。
…忙しいなぁ。
俺の睦は。

「宇髄さんは?」

「俺は腹いっぱい」

見てるだけで、腹も満たされる。
睦が笑っていれば
それだけで多少のことは大丈夫だ。

「ホラ、こっちは?
涼しげだし睦好きそうだな?」


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